2012年第2四半期は、新宿を除く4エリアで1階の平均募集賃料が前四半期から下落した。下落幅は1100円~2600円だった。1階平均賃料が5エリアで最も低いのは渋谷で、2万9792円と3万円を下回っている。これらの賃料水準の低下の原因は、一等地以外のエリアでの募集件数が増加して平均賃料水準を引き下げたためだ。

 池袋の1階店舗は3万4870円と高い水準にある。これは、駅近など一等地で募集が多いことが原因で、むしろ池袋の苦境ぶりを表している。

 各エリアともメーンストリート沿いには一定のニーズがあり、成約賃料の水準に大きな変化はない。図表で示していないが、例えば、銀座の中央通りや晴海通り、表参道沿いでは成約賃料が1坪あたり10万円を超えている。これは2011年下期の調査とほぼ同額で、平均募集賃料との乖離かいりが大きくなってきた。

 2012年春は、渋谷ヒカリエや東急プラザ 表参道原宿など、エリアを代表する新規商業施設が相次いで開業した。さらに2020年~2027年にかけて順次完成する渋谷駅の再開発では約15万5000m2の商業スペースが誕生する。特に、渋谷駅は今後も大型開発が控えている。

  フロア区分 銀座 表参道 新宿 渋谷 池袋
募集賃料
(円/坪)
全フロア 25,958 28,113 23,578 22,005 21,192
1F 39,092 35,876 34,021 29,792 34,870
1F以外 23,985 23,909 21,441 20,897 19,919
公募数 全フロア 440 417 255 260 149
1F 59 162 40 48 18
1F以外 381 255 215 212 131
スタイルアクトが提供するReRemによる集計

【注】本レポートは、公募されている店舗系賃料情報に、個別のリーシング情報、伝聞賃料情報などを加え、主要エリア別の店舗賃料トレンドとして整理したものである。データについてはアトラクターズ・ラボとビーエーシー・アーバンプロジェクトが共同開発したマーケットデータシステムReReMリリムによるもので、地域別、時期別に収集、分析している。公募賃料はオンライン上で公募されている店舗系賃貸物件情報で、物件により共益費を含むケースと含まないケースがあるため、ここでは別途徴収している共益費を全サンプル数で除した平均値(月坪約1千円)を加算し、共益費込賃料として合計している。ReReMの詳細はアトラクターズ・ラボ、もしくはビーエーシー・アーバンプロジェクト(下記関連リンク)まで。

ビーエーシー・アーバンプロジェクト