改善を重ねて打重ね線などは3.5点以上に

 新小本大橋の全ての橋台、橋脚の表面が黒っぽい仕上がりとなった。透水性型枠を用いたこともあり、沈みひび割れ、表面気泡はほとんど観察されなかった。

 打込みは14年の12月から15年の5月にかけて行われた。打込み初期の冬季に、ブリーディングの排除の努力を行ったものの、打重ね線が見られ、特に橋脚の曲線部に砂すじが局所的に発生した。

 それでも橋脚の曲線部における型枠の固定の強化や、型枠付近でブリーディング水を排除しないこと、バイブレータを下層へ適切に挿入することの徹底などで改善を重ね、打込み後期では3.5点以上の良好な出来栄えを達成した。

■目視評価の結果(新小本大橋)
■目視評価の結果(新小本大橋)
(資料:西松建設)
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 SWATの計測は16年4月に行った。透水性型枠を使用した面では極めて高い吸水抵抗性を示し、ほとんど吸水しない結果となった。

 型枠継ぎ目部でも計測し、数値では0.24ml/m2/sと高い吸水抵抗性を示したが、型枠継ぎ目のわずかなノロ漏れに沿って水が遡上する様子が認められた。型枠継ぎ目近傍のごく表面の薄皮に吸水抵抗性の低い部分があるものの、かぶりコンクリートは十分な緻密性を持つものと考えている。

■SWATの計測結果(新小本大橋)
■SWATの計測結果(新小本大橋)
(資料:細田 暁)
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※この短期連載は、「新設コンクリート革命」から一部を抜粋したものです。第5回は5月16日(火)に掲載します。

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