FCレジデンシャル投資法人は12月25日、2007年10月期決算を発表した。1口あたり分配金は6153円で、前期の1万959円に比べて44%の大幅減となった。米プロスペクト・アセット・マネジメントが投資口を買い進めた影響で、導管性要件と呼ばれる税法上の規定に抵触したのが原因だ。ただし、11月発表の分配金予想よりは5%の上方修正となった。

 プロスペクトが提出した大量保有報告書によると、同社は10月末までにFCレジデンシャルの投資口42%を取得していた。2位のJPEキャピタル・マネジメント(ケイマン籍)、3位の日興アセットマネジメントと合わせた保有比率は56%。期末時点で大口投資主上位3社の保有比率が50%を超えたため、FCレジデンシャルは、それまで認められてきた税法上の特典が受けられなかった。

 REIT(不動産投資信託)の導管性要件については、政府・与党がまとめた税制改正大綱に基づいて、2008年春にも規制緩和が実施される見込みだ。政府などは、導管性要件の判定基準となる投資口主の数を、上位3社から1社に緩和。筆頭投資主の保有割合が50%を切っていれば税の減免を認める方向で検討している。

 FCレジデンシャルの決算は、この制度改正に間に合わなかったため、今回は減配を避けられなかった。投資法人は、2008年4月期の予想分配金を1万2249円へと増配する見通しを示している。

本間 純