第4問の答えは……

 答えはEの千住博氏(日本画家)。浴室のタイルアートがそれです。

 デザイナーの水戸岡鋭治氏と日本画家の千住博氏の協力を得て、千住氏が描いた富士山や鹿などの絵をタイルに焼きました。休憩所や脱衣室入り口の壁面にも町内外から公募した花のイラストと千住氏の樹を組み合わせたタイル絵を配し、空間に彩りを与えています。詳細はこちらのページから。

2階浴室。壁面に、千住博氏が描いた「泉と鹿」のタイル絵を配した。手前の壁上部には男女浴室をつなぐように「霊峰富士」が描かれている(写真:吉田 誠)
2階浴室。壁面に、千住博氏が描いた「泉と鹿」のタイル絵を配した。手前の壁上部には男女浴室をつなぐように「霊峰富士」が描かれている(写真:吉田 誠)
[画像のクリックで拡大表示]
脱衣所前。正面の壁に、住民と千住氏がコラボレーションしたタイル絵が見える(写真:吉田 誠)
脱衣所前。正面の壁に、住民と千住氏がコラボレーションしたタイル絵が見える(写真:吉田 誠)
[画像のクリックで拡大表示]

 こうした“公共らしくない”試みが実現できるのは、坂氏のネットワークの広さと行動力によるところが大きいでしょう。2014年のプリツカー賞受賞の際にも、デザインだけでなく、そうした点が評価されました。

 筆者は、実際にこの温泉に入りに行きましたが、木格子の間の膜屋根から柔らかな光が差し込む、実に気持ちのよい風呂でした。近くには、東利恵氏が設計したテナント型商店街「シーパルピア女川」もあります。

シーパルピア女川のA棟広場まわり。深い軒や木製デッキ、コの字形に配した大小のレンガのベンチなどが、人の滞留する場を生み出している(写真:吉田 誠)
シーパルピア女川のA棟広場まわり。深い軒や木製デッキ、コの字形に配した大小のレンガのベンチなどが、人の滞留する場を生み出している(写真:吉田 誠)
[画像のクリックで拡大表示]

 ぜひ、ひと風呂浴びに女川に行ってみてください。仙台からJRの列車で2時間ほどの場所です。