「財政負担なしで移転可能」

 豊島区は5月7日、現庁舎から南に700mほど離れた敷地に官民で合築した地上49階地下3階建ての複合施設、としまエコミューゼタウンへ区庁舎を移転する。区立小学校などの跡地を再開発したプロジェクトで、下層部が区庁舎、上層部は東京建物などが手がける432戸の分譲マンション、ブリリアタワー池袋となる。

 新庁舎の延べ床面積は約2万5500m2を確保する。そのうち約1万700m2は、区が権利床として無償で取得。残りの約1万4800m2は保留床を購入する。区は現庁舎と公会堂の定期借地料として受け取る191億円を、約140億円となる保留床の購入費に充てる方針だ。「財政負担なしで新庁舎への移転が可能になる」と区は説明している。これとは別に、新ホール棟内に設ける大ホール部分の区分所有権を区が取得するために、50億円強が掛かるとみられる。

豊島区庁舎整備の事業スキーム(資料:豊島区)

 全国各地の自治体では、高度経済成長期に建てられた公共施設の老朽化が問題となっている。財政難のなかで、更新費用を捻出するのが難しくなっているからだ。そこで、都心部の自治体を中心に公有地を民間に貸し付け、官民連携で建て替えなどに取り組むケースが出てきている。

 例えば、渋谷区は区庁舎と渋谷公会堂がある区有地の一部に、70年間の定期借地権を設定。三井不動産などで構成するグループが分譲マンションを建設するのを認めることと引き換えに、庁舎と公会堂を無償で建て替えてもらう計画を進めている。


[開発の概要]
開発名:豊島区現庁舎地活用事業(オフィス・商業棟)
所在地:豊島区東池袋1-18-1(住居表示)
最寄り駅:JR・地下鉄池袋駅徒歩3分
面積:土地3637.15m2(定期借地)、延べ床約6万4000m2
階数(地上/地下):30/2
用途:事務所、店舗、映画館
用途地域:商業
容積率:800%(法定)
事業主:東京建物、サンケイビル
設計者:鹿島
施工者:鹿島
工期:2016年11月~2020年3月(予定)


開発名:豊島区現庁舎地活用事業(ホール棟)
所在地:豊島区東池袋1-19-1(住居表示)
最寄り駅:JR・地下鉄池袋駅徒歩3分
面積:土地3049.62m2(定期借地)、延べ床約1万m2
階数(地上/地下):7/1
用途:劇場、店舗
用途地域:商業
容積率:800%(法定)
事業主:東京建物、サンケイビル
設計者:鹿島
施工者:鹿島
工期:2016年11月~2019年3月(予定)