渋谷区役所と渋谷公会堂の建て替えに合わせ、三井不動産などが区有地の一部を借り受けて37階建ての分譲マンションを建設する計画について、渋谷区はマンションの高さを39階建てまで認める方針を固めたことがわかった。2015年3月の区議会に諮り、正式に決定する。建築費が高騰するなか、容積率をさらに緩和することで民間事業者のマンション販売収入を増やし、引き換えに庁舎と公会堂を無償で建て替えてもらう。

新庁舎と新公会堂の完成予想図。新庁舎は地上15階地下2階建て。三井不動産などは庁舎の北側を定期借地して、分譲マンションを建てる計画(資料:渋谷区)

3棟の配置図(資料:渋谷区)

 区は耐震強度不足などを理由に、18年度までに庁舎、19年度までに公会堂を建て替える方針だ。民間から事業スキームを含めた提案を募り、5グループの中から三井不動産と三井不動産レジデンシャル、日本設計の3社で構成するグループを選定。14年3月に基本協定を締結した。

 三井不動産などが当初に提案した事業スキームは以下の通り。まず、現庁舎と公会堂がある敷地1万2418m2のうち、北側の4565m2に70年間の定期借地権を設定して、分譲マンションを建設する。竣工は19年度を予定。規模は地上37階建て、高さ121m、延べ床面積4万5300m2とし、414戸を販売する。

 一方、定期借地の権利金を154億円と設定。三井不動産などは権利金を区に支払う代わりに、延べ床面積3万3400m2の新庁舎と同8300m2の新公会堂を建設して区に無償で譲渡する。定期借地の権利金を充てて、区の財政負担なしで庁舎などを建て替える全国初の試みだ。

 定期借地の権利金は、新庁舎と新公会堂の建て替え事業費に相当する。内訳として新庁舎などの建築費が136億円、同設計費が5億円、現庁舎などの解体費が13億円と見積もった。