日本エスコンは6月22日、事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)によって経営再建をめざす方針を明らかにした。同日、手続きの取り扱い団体である事業再生実務家協会(JATP)に事業再生ADRを申請して、受理された。日本エスコンとJATPは連名で、取引金融機関に対して借入金元本返済の一時停止などを通知した。

 事業再生ADRは私的整理の一種で、事業再生の専門家とともに関係当事者の合意を取りながら再生を進める手法だ。コスモスイニシアやラディアホールディングス(旧グッドウィル・グループ)なども、事業再生ADRによって再建をめざしているところだ。

 日本エスコンはマンション分譲などを手がける不動産会社で、1995年に大阪市で設立された。2001年にジャスダックに上場し、2003年には本社を東京・千代田区に移転している。「ネバーランド」ブランドによるマンション分譲事業のほか、賃貸マンションや商業施設など収益不動産の開発も手がけている。

 同社は、有利子負債が2009年3月末時点で724億円に達する。このうち1年以内に返済期限が到来する借入金は約534億円だ。さらに、6月に50億円、7月に33億円の社債償還を控えており、これらの返済資金を調達することが困難な状況にあった。

 同社は7月3日に開催する債権者会議において、金融機関に対して借入金元本返済の一時停止への同意などを要請する。その後、9月28日開催予定の債権者集会で、事業再生計画の成立をめざしている。再生計画案によると、同社はマンション分譲をコア事業として経営資源を集中する一方で、未着工の収益不動産プロジェクトについては凍結・売却していく考えを示している。