コスモイニシアは4月27日、「事業再生ADR(裁判外紛争解決)手続き」と呼ばれる手法によって経営再建をめざす方針を明らかにした。事業再生ADRは民事再生などの法的整理とは違って、事業再生の専門家の下で関係当事者の合意を中心に事業再生を進める私的整理の一種だ。経済産業省などが認定した機関が仲介役となり、関係当事者の意向を調整して再建計画を取りまとめる。
コスモスイニシアはマンション販売の大手デベロッパーで、2005年6月にMBO(マネジメント・バイアウト)によってリクルートグループから独立した。世界的な金融市場の混乱などによって不動産市況が急速に悪化するなか、同社の経営状態は大幅に悪化している。2008年4月~12月期は連結ベースで約327億円の赤字となっており、2009年3月期は債務超過に陥る見通しだ。
同社は、自社単独での再生は難しいと判断して事業再生ADR(Alternative Dispute Resolution)手続きの申請に踏み切った。今後、法務省および経済産業省より認定を受けた事業再生実務家協会(JATP)の指導・助言の下で、再生計画案の作成を進める。4月28日に開催する「第1回債権者会議」において、金融機関に対して借入金元本返済の一時停止への同意などを要請する予定だ。7月24日開催予定の債権者会議で再生計画を成立させたうえで、2010年3月期には債務超過の解消をめざす。