パシフィックホールディングスは2月27日、同社が3月2日に開示予定の2008年11月期(2007年12月~2008年11月)有価証券報告書について、監査法人トーマツから監査意見不表明の告知を受け取ったと発表した。パシフィックは同日付で、東京証券取引所から監理銘柄に指定された。

 トーマツは、パシフィックが2月27日に払い込みを受ける予定だった第三者割当増資が実現していないことから、優先株発行を前提とした経営計画の実行可能性は不明だと指摘している。

 この事態を受けて、パシフィック傘下のREIT(不動産投資信託)、日本コマーシャル投資法人の運用会社は、緊急対応本部を設置し、今後の対応を検討する。

 同じくパシフィック系REITである日本レジデンシャル投資法人の運用会社は、「必要に応じて迅速かつ適切な対応を行う」との声明を発表した。同投資法人は2月26日、スポンサーの債務超過を理由に、継続企業の前提に関する疑義を2008年11月期有価証券報告書に注記することを明らかにしている。

 一方、パシフィックは同社と傘下のREITを一体運営して経営再建をめざす意向を示している。2月26日の株主総会では高塚優氏の社長退任とともに、日本コマーシャル投資法人と日本レジデンシャル投資法人の社長がパシフィックの非常勤取締役に就く兼任人事を決議した。

 また、パシフィックは、出資を予定していた中国系企業10社以外にも範囲を広げて資金調達交渉を続ける意向を示しており、株主総会ではこれら企業への優先株発行も承認されている。

本間 純