2008年10月-12月期はREIT(不動産投資信託)の資産取得が過去最低となり、運用資産総額は鑑定評価額ベースで減少に転じた――。東急不動産は2009年2月にまとめたTOREIT(トゥーリート)四半期報告で、こうした分析結果を明らかにした。2002年の市場創設以来、REITの運用資産規模が縮小するのは初めてとなる。

 調査は2008年10月から12月に公表されたデータに基づいて行った。当期の取得物件は13件、509億円(取得価格ベース)。一方、売却物件は6件、131億円(売却価格ベース)だった。この結果、取得価格ベースの運用資産総額は7兆6325億円となり、前期(7月-9月)に比べて424億円増加した。しかし市況悪化の影響から、期末鑑定評価額は8兆5694億円と、前期比302億円のマイナスを記録した。

 運用資産のNOI(純利益)を期末鑑定評価額で割った運用時NOI利回りも、市場創設以来、初めて上昇に転じた。平均利回りは5.3%で、倉庫と底地を除いた全アセットで上昇している。また、物件取得時の鑑定キャップレートも前期から0.2ポイント上昇し、4.9%になった。こうしたことから、東急不動産は「不動産市場が後退局面に入っていることが浮き彫りになった」と結んでいる。

 TOREIT(東急不動産J-REITシステム)は、東急不動産が運営している有料会員制データベースだ。全REITの運用資産をデータベース化しており、会員はウェブサイト上で必要なデータを収集、加工できる。なお、東急不動産はTOREITを使った分析結果を月ごと、四半期ごとにまとめている。一部は同社のウェブサイトで公開中だ。