その名の通り東京を東西に貫き、23区東部や千葉県北西部から東京都心への大動脈となっている東京地下鉄(東京メトロ)東西線。大手町など都心部に短時間で直結する利便性の高さから、葛西や浦安など地上区間の各駅を中心に宅地開発が急速に進み、鉄道の混雑率ワーストクラスの常連となっている。今後「日本一の混雑路線」になる可能性も出てきた東西線で、混雑緩和と遅延防止に向けた大改良工事が進められている。

高架線を走る東西線の電車(05系)。都心までの所要時間の短さなど、利便性の高さから沿線開発が進み、ラッシュ時の混雑は日本ワーストクラスだ(写真:小佐野カゲトシ)
高架線を走る東西線の電車(05系)。都心までの所要時間の短さなど、利便性の高さから沿線開発が進み、ラッシュ時の混雑は日本ワーストクラスだ(写真:小佐野カゲトシ)

東西線の路線図
東西線の路線図(資料:東京メトロ)
(資料:東京メトロ)

2015年以降は「混雑日本一」に?

 東西線は全国の地下鉄と大手民鉄16社の中で最も混雑率の高い路線だ。国土交通省の2013年度データによると、木場─門前仲町間の朝ラッシュ時1時間(7時50分~8時50分)の混雑率は199%。どれくらい混雑しているかというと、200%で「体が触れ合い、相当な圧迫感がある。しかし、週刊誌なら何とか読める」(日本民営鉄道協会の解説)というレベルだ。

 JRも含めると、JR総武線の錦糸町─両国間と並ぶ首都圏ワースト3位となる。ちなみに、ワースト1位はJR山手線の上野─御徒町間の202%、2位はJR京浜東北線の同じ区間で200%だが、両区間は2015年3月に上野─東京間を結ぶ東北縦貫線(愛称「上野東京ライン」)が開業し、常磐線・東北線・高崎線の列車が東京駅に乗り入れを開始すれば混雑が大幅に緩和すると予想されている。2015年以降は、東西線が日本一の混雑路線になる可能性が高い。

全国の鉄道混雑率ランキング(2013年度)
順位路線名区間時間帯混雑率(%)編成両数×本数輸送人員(人)
1JR山手線外回り上野─御徒町8:00~9:0020211×2478,930
2JR京浜東北線上野─御徒町8:00~9:0020010×2676,930
3JR総武線各駅停車錦糸町─両国7:34~8:3419910×2676,760
3東京メトロ東西線木場─門前仲町7:50~8:5019910×2776,354
4JR中央線快速中野─新宿7:55~8:5519410×3086,310
4JR南武線武蔵中原─武蔵小杉7:30~8:301946×2540,650
5JR横須賀線武蔵小杉─西大井7:34~8:3419313×1036,000
6JR埼京線板橋ー池袋7:50~8:5019010×1952,620
7小田急小田原線世田谷代田─下北沢7:47~8:491889.4×2972,312
8JR武蔵野線東浦和─南浦和7:21~8:211848×1530,830
9JR京浜東北線大井町─品川7:30~8:3018310×2670,570
9東急田園都市線池尻大橋─渋谷7:50~8:5018310×2978,358
9JR東海道線川崎─品川7:39~8:3418313×1964,200
9JR横浜線小机─新横浜7:30~8:301838×1938,860
2013年度、ラッシュ時の混雑率が180%を上回った路線は全国で13路線。東西線は3位タイで、全国の地下鉄・大手民鉄の中では最も高い(国土交通省のデータを基に小佐野カゲトシが作成)