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ケンセツ的視点

リニア新幹線の南アルプス貫通ルートを予想・検証してみる

2008/11/04

 「地形・地質調査の結果、リニア中央新幹線は南アルプス貫通ルートでも建設可能」――。こんな興味深い内容を盛り込んだ報告書を、JR東海が10月22日付で国土交通省に提出した。ルートの詳細については、まだ何も公表されていないものの、既に様々な“状況証拠”がある。どのようなルートをたどって南アルプスを貫通するのか、山梨から長野に至るまでを予想・検証してみた。

リニア新幹線の南アルプス貫通ルートを予想・検証
筆者が予想したリニア中央新幹線の南アルプス貫通ルートの概略。曲線の多少のひずみはお許しを (作成:ケンプラッツ、地図提供:マピオン (c)Yahoo Japan)

甲府盆地では笛吹川に沿って南西に

 今回の予想・検証では、東から西に向かって話を進めることにする。

 始点については、山梨リニア実験線の存在を抜きには語れない。1997年に先行区間の18.4kmが開通済みで、2007年には本来の全長42.8kmに延伸する工事が始まっている。完成すると西端は山梨県笛吹市境川町小山になる。実験線を営業路線に転用するとみられるので、笛吹市から西を予想していく。

 ケンプラッツでも報じているように、今年に入って南アルプス(赤石山脈)の東西2地点で、水平ボーリング調査が始まった。この2地点間にトンネルを掘って南アルプスを貫くのが“本命ルート”とみてよいだろう。

 ボーリング調査の東側の地点は、山梨県早川町新倉(あらくら)にある。笛吹市からは、ここに向かって路線が敷かれる。

 実験線の西端は、南アルプス方面にも諏訪方面にも延伸できるよう、ほぼ西向きになる。早川町新倉に向かうには、進路を南西向きに曲げる必要があるものの、高速走行を阻害しないよう、カーブは緩やかなものになる。実験線のカーブは、曲率半径を最小8000mにしており、恐らく営業路線でも、ほぼ全線が同様の仕様になるだろう。

 路線は笛吹川に沿ってJR身延線の鰍沢口駅付近に向かう。笛吹川流域の標高は250m程度で起伏が少なく、ほとんどが地上区間になる。用地を買収しやすくするために山に近い東南寄りを通ったり、笛吹川にかける橋梁を1本で済ますために北西寄りを通ったりする可能性もある。

 鰍沢口駅付近で巨摩(こま)山地が迫ってくる。進路を西向きに変え、十谷峠をトンネルで抜け、早川町新倉のボーリング調査地点に到達する。標高は約500m、鰍沢口駅付近からの距離は約13kmなので勾配は20‰(パーミル、距離1000mで高さ20mの勾配)程度となる。

 20‰の勾配は従来の新幹線ならきつい部類に入る。リニア新幹線の場合は、実験線の随所に40‰の勾配を設けている。軌道との摩擦に頼らず加速するので、40‰でも高速性を損なうことなく上れるのだろう。

リニア新幹線の南アルプス貫通ルートを予想・検証
予想ルートの山梨県部分。カーブの曲率半径を実験線と同じ最小8000mで想定した。鰍沢口駅付近までは比較的平坦だが、以西には巨摩山地があるのでトンネルで抜ける。始点は笛吹市境川町小山中丸999、ボーリング調査地点は早川町新倉を縦貫する県道37号の明川トンネルの北側 (作成:ケンプラッツ、地図提供:マピオン (c)Yahoo Japan)

 もし、甲府盆地で中央本線の甲府駅に接続できれば、乗り換えが便利になる。しかし、その場合には大きなS字カーブが出来てしまい、走行距離が長くなってしまう。この選択肢はなさそうだ。

 なお、鉄道で勾配を算出する際には、分母を水平距離ではなく移動距離にするものの、この記事では、計算を容易にするため、水平距離を分母にした。

◆next:いよいよ南アルプス貫通へ

高槻 長尚ケンプラッツ

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