BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を施工段階でうまく活用すると、工事関係者間の合意形成や手戻り防止など、大きなビジネス的なメリットが生まれる。特に商慣行や文化が異なる海外では、その効果は顕著だ。シンガポールで超高層オフィスビルの設計・施工を行う竹中工務店の現場を直撃し、BIMの活用状況を取材した。

 シンガポールのビジネス街で、竹中工務店が施工している地上40階、地下3階の超高層オフィスビルがある。「マーケット・ストリート・タワー」だ。発注者はキャピタランド、キャピタコマーシャルトラスト、三菱地所で構成するマーケット・ストリート・オフィス・トラスティー。竹中工務店は実施設計施工(構造・設備については設計施工)という契約形態でプロジェクトを受注した(意匠設計は伊東豊雄建築設計事務所)。

2012年10月当時の現場(左)はまだ基礎工事段階だったが、わずか1年半後の2014年4月の現場(右)は躯体がほぼ完成していた(写真:家入龍太)
2012年10月当時の現場(左)はまだ基礎工事段階だったが、わずか1年半後の2014年4月の現場(右)は躯体がほぼ完成していた(写真:家入龍太)
2012年10月当時の現場(左)はまだ基礎工事段階だったが、わずか1年半後の2014年4月の現場(右)は躯体がほぼ完成していた(写真:家入龍太)

ビジネス街にあるマーケット通り沿いで進む工事(写真:家入龍太)
ビジネス街にあるマーケット通り沿いで進む工事(写真:家入龍太)

 2012年10月に現場を訪れたときは、まだ基礎工事を行っている段階だったが、今年4月28日に現場を再訪すると、構造部分はほぼ完成していた。このスピーディーな施工を支える一翼を担っているのがBIMだ。

 マーケット・ストリート・タワーの施工現場では、約1年半前の取材時(関連記事)と比べても、さらに深く幅広いBIM活用が進んでいた。