「五輪まで凍結」が最も安い

 公共事業では、東京五輪が開かれる2020年まで建設を延期する動きが相次いでいる。千葉県木更津市は5月に開いた新市庁舎整備の特別委員会で、20年以降まで建設を延期する案など3つの案を提示。3案の中で延期案の事業費が最も安いとした。6月24日に市の意思決定機関である経営戦略会議で議題に挙げ、26日に延期を正式発表する見込みだ。

新庁舎の建築計画の方針。最上階に市民の交流ゾーンを設ける計画だ(資料:木更津市)
新庁舎の建築計画の方針。最上階に市民の交流ゾーンを設ける計画だ(資料:木更津市)

 市は16年10月の完成を目指して今年4月に建設工事の入札を実施したが、入札参加者が辞退し不調となっていた。市によれば、労務費や資材費の急激な高騰によって、参加者の見積額が市の予定価格(約93億6700万円)を上回ったことが辞退の理由だ。

 入札不調を受けて市が5月に提示した対策は以下の3案だ。現行の計画通りに建設する案(総事業費は約150億7600万円)、規模を縮小して建設する案(同約131億2100万円)、20年以降まで延期して建設する案(同約110億3500万円)――。現庁舎の耐震性が不足していることから、いずれの案でも、仮庁舎の移転が必要となる。移転費用は、総事業費とは別に約21億3000万円を見込んでいる。

 市管財課の担当者は「東京五輪までは、労務費も資材費も下がらないと見込んでいる。延期すれば、建設のための基金を積み増すことができる」と話す。

東京都豊島区が建設の長期凍結を決定した西部地域複合施設。3回目の入札を諦めて事業を凍結した。設計はプロポーザルで選ばれた山本理顕設計工場。構造は鉄骨造、一部鉄筋コンクリート造で、地下1階・地上3階建て(資料:山本理顕設計工場)
東京都豊島区が建設の長期凍結を決定した西部地域複合施設。3回目の入札を諦めて事業を凍結した。設計はプロポーザルで選ばれた山本理顕設計工場。構造は鉄骨造、一部鉄筋コンクリート造で、地下1階・地上3階建て(資料:山本理顕設計工場)

 東京都内でも、豊島区が今年4月に、区が整備する西部地域複合施設の建設を東京五輪が開かれる20年の前後まで凍結することを発表している。入札不調が2回続き、13年12月に一時凍結を決定していたが、3回目の入札を断念。長期凍結を決めた。

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