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地震の揺れを吸収する高減衰ゴムの秘密に迫る

ゴムの力で地震対策 第2回

2013/04/02

 地震対策は、仕組みによって3つのタイプに分かれる。建物全体を耐力壁や筋交いなどで堅く固定して揺れに耐える「耐震」。建物の基礎と土台の間に組み込んだ装置で揺れを免れる「免震」。そして、建物の壁の間に組み込んだエネルギー吸収装置で揺れを制御する「制震」である(第1回「『制震』の考えで戸建て住宅を」参照)。

 前回紹介した住友ゴム工業の制震ダンパー「MIRAIE」では「高減衰ゴム」に地震による揺れのエネルギーを吸収させる方式を採っている。今回はその「ゴム」そのものの秘密に迫った。

巨大な橋の揺れを抑える装置として開発

 「もともとは住宅の『制震』ではなく、大きな橋などの『制振』に使われていました」。住友ゴム工業制振事業推進部ビジネスチームリーダーの松本達治氏は言う。同社の高減衰ゴムの研究は、1980年代半ば、材料を専門とする研究開発本部の基礎研究から始まった。

 初めて構造物の制振に実用化されたのは、94年、大規模な斜張橋の「風揺れ」を防ぐためだった。高減衰ゴムを使用した制振ダンパーは、長大なケーブルと橋桁を連結するようにケーブルの根元に組み込まれ、ケーブルの揺れを抑制して、橋全体の安全性を高めるものだ。

 以来、高減衰ゴムを使用した制振ダンパーは、国内外で約60橋に導入され、「ここ10年、国内の大規模な斜張橋の多くに採用いただいている」(松本氏)という。「ケーブルの長さが最大で約300mもあるアジア最大の韓国のインチョン大橋への採用をはじめとして、アメリカ、カナダ、スペイン、マレーシア、ベトナム、香港など、海外でもその性能は高く評価されています」(同氏)。現在、橋梁のほかに、ビルや橋桁など、巨大な構造物の制振(制震)部材としても採用されている。

制振ダンパーが採用されている長崎港の港口に架かる女神大橋。橋長は880m

名港西大橋は伊勢湾岸自動車道の斜張橋で橋長は758m。ここにも制振ダンパーが使われている


 この高減衰ゴムはどのような性質を持っているのだろうか。制震ゴムにとって重要なポイントは「エネルギー吸収性」「堅さ」「長期耐久性」の3つだと松本氏言う。

 制震ダンパーが性能を発揮するためには、揺れのエネルギーをいかに吸収し、揺れを制御して、構造物にダメージを与えないかがカギとなる。高減衰ゴムは、揺れによって変形する際、その運動エネルギーをより効率的に熱エネルギーに変換して発散する。

 このゴムを開発するときに、いかに効率よく運動エネルギーを熱エネルギーに変換できるかが性能のカギになる。その際に重要になってくるのはゴムに添加するフィラー(充填材料)である。主としてフィラー同士の摩擦によって、より効果的に運動エネルギーを熱エネルギーへと変換するという。「フィラーは、ミクロに粉砕した石の粒のようなものです。それをたくさんゴムの中に練り込むことで、ゴムがせん断(平行方向にずらすように力が作用)したとき、粒子が摩擦を起こし、運動エネルギーを熱に変えて逃がすイメージです」(松本氏)。

文・写真/佐保 圭=フリーライター日経トレンディネット

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