「木造二階建てのマイホームを建てたい!」と考えたとき、どうしても気になるのが「地震対策」だ。
ただ、一口に「地震対策」と言っても、さまざまなことが考えられる。
一番怖いのは倒壊することだから、とにかく堅くて頑丈につくった方がいいのか。それとも、むしろ建物に柔軟な物を入れて、壊れにくくした方がいいのか。あるいは、家と地面の間に緩衝剤のようなものをかませて、揺れにくくするのがいいのか……。
実際の地震対策も、これらの考え方を基本とした「耐震」「制震」「免震」という仕組みに分かれている。
耐震とは、建物の骨組みを強化したり、耐力壁を増やしたり、筋交いを設けるなど、建物全体を堅く固定して地震の揺れに「耐える」ようにすること。
制震は、建物の土台と梁の中間に可動式の制震装置を組み込み、そこで震動を吸収し、建物に伝わりにくくすることで、地震の揺れを「抑制」という考え方だ。
免震は、建物の基礎と土台の間に可動式の免震装置を組み込み、そこで震動を受け流し、建物と地盤を切り離すことで、地震の揺れから「免れる」仕組みだ。
いったい、どの対策が一番「良い」のだろうか?
「良い、悪いではなく、地震対策には、耐震、制震、免震の3つの『メニュー』があると考えればいいのです」。木造建築物の対震工学研究の第一人者である信州大学工学部建築学科の五十田博教授が教えてくれた。
「耐震構造には、これまでの実績と信頼性があり、1回の地震に対しては、確実に人命を守れる。制震構造は、ある程度のお金をかけて装置を入れれば、くり返しの地震に対しても、ほとんど性能の劣化しない構造がつくれる。免震構造は、かなりお金はかかるけれど、極端な地震がこなければ、建築物は無損傷ですむ。“松竹梅”ではないですが、そういう3つのメニューなのです」(五十田教授)。