シンガポール中心街で建設中の複合施設、「DUO(デュオ)」は、上階が空中に突き出した跳ね出し床を持つ高層ビル2棟と敷地全域に広がる低層商業棟からなる。大林シンガポール(以下、大林組)はこのビルの施工に当たり、意匠、構造、設備をBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデル化し、複雑な施工手順や納まりを4D(3D+時間軸)シミュレーションで確認した。今はBIMと原価管理を連動させる「5D」にも挑戦中だ。

複合施設「DUO」の完成予想図。オフィス棟(左)と住居棟(右)はそれぞれ上階部分が空中に突き出した跳ね出し床を持ち、ユニークな外観だ(資料:大林組)
複合施設「DUO」の完成予想図。オフィス棟(左)と住居棟(右)はそれぞれ上階部分が空中に突き出した跳ね出し床を持ち、ユニークな外観だ(資料:大林組)
[画像のクリックで拡大表示]

 「2019年度にはすべてのプロジェクトでBIMを一貫利用するというのが大林組の戦略だ。このプロジェクトでは従来のAutoCADから脱却し、すべての図面作成をBIMソフトで行うことからスタートした。質実剛健に3Dモデルからの作図を行うことにより、BIMのワークフローを最大化することが目標だ」と、大林組の岡野英一郎所長は説明する。

 そのBIM活用は、プロジェクトの施工業務全般にわたる。(1)関係者間の効果的、効率的な連携、(2)施工前の干渉問題解決、(3)すべての施工図をBIMモデルから作成する、(4)施工方法の説明や進ちょく報告、そして(5)現場作業を4Dでシミュレーションする、といった具合だ。

シンガポールの中心市街地、ブギスで進む工事。2月25日の状態(写真:家入龍太)
シンガポールの中心市街地、ブギスで進む工事。2月25日の状態(写真:家入龍太)
[画像のクリックで拡大表示]
躯体のBIMモデル。右側のオフィス棟は、跳ね出し床の下に仮設ベント柱もモデリングされている(資料:大林組)
躯体のBIMモデル。右側のオフィス棟は、跳ね出し床の下に仮設ベント柱もモデリングされている(資料:大林組)
[画像のクリックで拡大表示]
施工を担当する大林組のスタッフ。左から岡野英一郎所長、BIMマネジャーのNg氏、工務長の近藤哲氏、シニアBIMコーディネーターのDino氏(写真:家入龍太)
施工を担当する大林組のスタッフ。左から岡野英一郎所長、BIMマネジャーのNg氏、工務長の近藤哲氏、シニアBIMコーディネーターのDino氏(写真:家入龍太)
[画像のクリックで拡大表示]