建築物のエネルギー消費性能を向上させる上で、キーになる部位の一つが開口部だ。建築確認や省エネ適合性判定、工事監理、完了検査などのプロセスで、採用した建材が省エネ基準に適合することを証明するためにはどうすればよいのか。
──2017年4月1日から始まる建築物省エネ法の適合義務化に向けて、板硝子協会ではどのような対応を進めていますか。
板硝子協会は、旭硝子、日本板硝子、セントラル硝子という主要ガラスメーカー3社による団体です。今回の省エネ基準適合義務化に当たっては、Low-E複層ガラス、当団体では「エコガラス」と呼称していますが、この普及の一環として取り組んでいます。
──具体的にはどのようなことですか。
現在、複層ガラスには1枚ごとに寸法や種類、製造者名などを記載した「ガラスラベル」を出荷時に貼付しています。これに断熱性能の数値や、Low-E膜、中空層の構成などを示す記号を明記するようにしました。
これまでは、出荷されたガラスは梱包を解いて単体となったら、どのような構成でどのような性能を持っているか、見分けがつきませんでした。そこで、ラベルを見れば施工現場の管理者でもガラスの性能が把握できるようにしたのです。
──ラベルにはどのような内容や数値を記載するのでしょうか。
特に重要なのは「ガラス建築確認記号」です。ガラスの層数、Low-Eガラスの枚数と日射取得区分、中空層の気体の種類、中空層の厚さなどを数字と記号で表しています。
これらの記号は、省エネ基準におけるガラスの仕様と性能に対応しており、国土交通省がまとめた工事監理マニュアルなどに付記されているガラス品種リストと対照すれば性能がどのくらいであるか、分かるようになっています。
──このラベルでは他にどのようなことを表示していますか。
現状で熱貫流率(U値)を記載しています。さらに省エネ基準では、日射熱取得率(η値)も関係してきますので、17年4月以降はこれも表示しようと準備しています。