環境・エネルギー専門部会では、横浜市における取り組みをベースに、スマートシティの構築、維持管理などに関して議論した。今後、より重要となる官民の役割分担にも話が及び、第三者評価の導入などについて意見を交わした
――まず、横浜市におけるスマートシティプロジェクトの成果や、今後の展開についてご紹介いただけますか。
信時(横浜市) 横浜市は人口が多く、あらゆる面で多様です。都市部があれば田園地帯もあり、地形も平坦な部分と急峻な部分があり、建物も新しいものと古いものが混在しています。また、自治会の組織率が約8割と高いことも特徴の1つです。こうした多様で活発な“市民の力”を、スマートシティの取り組みにも生かしてきました。
みなとみらい地区で2010年度から実施している「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)」では、HEMS(住宅用エネルギー管理システム)の導入が約4200件、太陽光発電システムの導入が約1万世帯(合計出力36MW)、電気自動車(EV)2300台を導入しました。そのほかにBEMS(ビル用エネルギー管理システム)、FEMS(工場用エネルギー管理システム)、地域内にある蓄電池を一元的に管理する「蓄電池SCADA」などを活用し、地域エネルギーマネジメントの開発・導入・実証事業を行っています。費用負担は国が3分の2、民間企業が3分の1です。市は実験自体ではなく、HEMS導入に対して国と併せて補助金を出してサポートしてきました。
2015年度からは実証から実装へと移行します。実証で蓄積したノウハウの維持・統合を目指し、横浜スマートビジネス協議会を設立する計画です。
今後の具体的なプロジェクトとしては、横浜市立大学附属市民総合医療センターと新築する南区総合庁舎の間でエネルギーを融通し合い、BEMSで最適制御する計画などがあります。郊外部の住宅地では、モデルプロジェクトを4カ所で展開しています。例えば、たまプラーザでは、駅から遠い高級住宅街に住む人々の高齢化で生活が不便になっていることなどを踏まえた街のリノベーションを目指しています。