関西国際空港と大阪国際空港(伊丹空港)の事業運営権を一体で民間にアウトソースする手法を基本に、その可能性を追求する――。国土交通省の成長戦略会議は5月17日、このような最終報告案をまとめた。もし実現すれば、国内初の事例となる。

 事業運営権とは、道路や空港などのインフラを整備、管理、運営し、料金徴収できる権利のこと。税金でつくったインフラには通常、私権を設定できない。そこで、行政が施設や土地を保有したまま、運営権だけを民間に売却。数十年の長期間にわたって、効率的にサービスを提供してもらう。「コンセッション方式」と呼ばれる仕組みだ。

 同報告案では、コンセッション方式によるPPP(官民連携)やPFI(民間資金を活用した社会資本整備)を、「優先して実施すべき事項」の一つに掲げた。

 両空港の運営権の売却価値は、現状で6200億~6300億円ほどあるとみられる。国交省は売却で得た収入を、関空会社の債務の返済に充てる考えだ。内閣府は今後、PFI法などの関連法案の改正に着手する。

 コンセッション方式の導入は、工夫と知恵を生かせる民間にとって商機となる。ただし、安易に導入すると、市民に付けが回ってくる恐れもある。