ケンプラッツ Special

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建設3次元まつり2009

「HP xw6600/CT Workstation(日本ヒューレット・パッカード)」

BIM、3次元CADの生産性を高めるワークステーション
低価格化で、建築・土木設計者が使う「プロの道具」に

大成建設

設計者の身近な道具になったワークステーション

建築、土木の設計業務で使われる道具は、従来の2次元CADから3次元CADやBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)へと大きく変わろうとしている。スーパーゼネコンの大成建設でも、約3年前から建築用3次元CAD、「Autodesk Revit Architecture」(以下、Revit)を導入し、建築設計業務の効率は飛躍的に高まった。

同時に、設計部で使うハードウエアにも変化が起こっている。これまでのパソコンに代わって、2008年秋から「ワークステーション」が導入され始めたのだ。

ひと昔前は、ワークステーションというと非常に高価でサイズも大きく、数値解析やシミュレーションなど特殊な用途に使われるコンピュータという印象があった。しかし、現在のワークステーションは、少し高めのパソコンという程度まで、身近なマシンになっている。

「普通のパソコンでもBIM用の3次元CADは使えますが、設計する建物の規模が大きくなってくるとメモリ不足などで、作業の途中で動作が急に遅くなったり、フリーズしたりといったトラブルが増えてきます。そこで、処理能力が大きく、動作も安定しているワークステーションを導入することになりました」と、大成建設設計本部テクニカルデザイングループのプロジェクトリーダーを務める高取昭浩さんは説明する。

「建物の3次元モデルを中心に設計を進めていくBIMは、モデル上のドアの位置を1mずらすだけで、平面図、立面図、断面図などの図面が整合性をとりながら自動的に変更されます。設計者が操作を1回行うと、コンピュータの中では2次元CADの何倍もの仕事が行われます。しかし、それに3秒もかかるようなら、設計者はストレスを感じ、作業能率も低下してしまいますからね」(同)。

大成建設設計本部が2008年秋に導入した日本ヒューレット・パッカードのモバイル・ワークステーション「HP Compaq 8710w Mobile Workstation」(左)と大成建設本社がある新宿センタービル(右)
BIMによって設計したビル。3次元CADの活用が本格化するほど、コンピュータのメモリ容量や処理能力にはより大きなスペックが求められる
BIMでの設計業務にワークステーションを導入した理由を説明する同社設計本部テクニカルデザイングループの高取さん

設計部のオフィスは、決まった個人の机を設けず、共用スペースにある机を、自由に選んで使える「フリーアドレス制」を導入している。そのため、設計部ではモバイル・ワークステーションという、持ち運び可能な機種を使っている。3次元CADを使うため、画面は17インチ、キーボードにはテンキーが付いている大型タイプだ。

建物の施主にプロジェクターを使ってプレゼンするときには、モニター画面に加えてプロジェクターにもビデオメモリが必要となる。「パソコンだと時々、フリーズしてしまうこともありました。しかし、モバイル・ワークステーションを使ったときは一度もそのようなトラブルがありません。その安心感は何者にも代え難いですね」(高取さん)

RevitとAutoCADを同時に立ち上げられる安定性

大成建設では、BIMによる設計業務が近い将来、さらに高度化することを予想して日本ヒューレット・パッカードの64ビットワークステーション「HP xw6600/CT Workstation」の動作試験を繰り返している。

総床面積数万m2にもなる8階建てビルをRevitで丸ごとモデリングし、モデルの作成や変更、編集、レンダリングによるCGやアニメーションの作成などを行っている。さらに、AutoCADなどのソフトを同時に起動させたままの作業など、マシンに高度な負荷をかけながら安定性や処理速度を検証している。

BIMによる設計業務の高度化に対応するため、大成建設設計本部でテスト中の日本ヒューレット・パッカードの64ビットワークステーション「HP xw6600/CT Workstation」(左)と、建築用3次元CAD「Revit」などのソフトを使った検証作業(右)
BIMによる設計実務では、「Revit」(左上)と「AutoCAD」(右下)を同時に立ち上げて作業することも多い。マシンの安定性や処理速度により、作業効率は大きく差が出る

「このマシンには、4つの演算機構を持ったクアッドコアのプロセッサーを2基、つまり通常のCPUを8台分搭載してあります。最新版の『Revit Architecture 2009』のレンダリング機能は、このプロセッサーの能力をフルに使うことができるため、高品質のCGをあっという間に作ってしまいます。時間を測定できないくらいです」と高取さんはその威力を語る。

その一例は、3次元CADからアニメーション動画を書き出すスピードだ。これまでのパソコンだと900コマの動画を書き出すのに3〜4日もかかっていたため、ラフなシェーディング画像で我慢することが多かったという。それが、このマシンによって24時間まで短縮されたため、フルレンダリングによる高品質な動画を作れるようになった。さらに3dsMAXの64ビットバージョンを使えば数時間でアニメーションが完成する。その処理の様子はまるでマシンガンのようだ。

「ある建物の起工式でフルレンダリングの動画を上映したところ、発注者からそのデータをほしいと言われました」と高取さんは振り返る。64ビットマシンは、処理速度の向上だけでなく、起工式のクオリティも一段と高めることに貢献した。

ワークステーションの検証に使われているBIMモデルの例。鉄骨がぎっしりと密集している。今後、BIMでの設計に必要とされるメモリ容量は増加の一途をたどることが予想される
64ビット処理に対応した「Revit Architecture 2009」は、部材数の多い建物のCGパースを作成するときのレンダリング作業では8台分のCPUが同時に稼働し、あっという間に処理が終わってしまう

BIM、3次元設計の高度化にも安心のメモリ増設余地

また、メモリスロットも8つ備えているので、メモリ増設にも余裕がある。現在は8GBのメモリを搭載している。32ビットマシンを普通の設定で使うと、4GBのメモリを搭載してもOSに1GB取られるので、CADソフトなどには1GB分しか残っていない。

「その点、8GBのメモリを搭載した64ビットマシンは、常時5〜6GBをソフトが使っています。32ビット機の5〜6倍のメモリをCADのために使えるので、処理スピードも比べものになりません」(同)。

同機は最大で64GBのメモリを搭載することができる。1GBや2GB程度のメモリが当たり前の今、こんなに大容量のメモリは必要ないのではと考える人も多いだろう。しかし、BIMや3次元設計が高度化してくると、近い将来、建設業においてもこのような大容量のメモリを使う日が来ることが予想されるのだ。

筐体やファン、部品の配置は熱流体解析(CFD)により設計され、筐体内で発生する熱を静かに効率的に排出できるように考慮されている(左)。メモリスロットは8基あり、64GBまでメモリ増設できる拡張性を持っている(右)

「例えば、製造業では自動車メーカーは社内プレゼンでさえ、フルレンダリングしたCGを使うのが常識になっています。クルマに比べて、建築物の場合は層構造が多く、部材の数も比べものにならないほど多いのです。建築業界でも自動車業界のようなプレゼンを行ったり、大規模な流体解析や環境シミュレーションなどを行ったりするようになることが予想されます」と高取さんは言い切る。

現在、日本の建設業界では建築ではBIM、土木では3次元データを活用した設計、施工のワークフロー改革が急ピッチで進みつつある。近い将来、設計者の業務は3次元ベースが常識になり、設計ツールも様変わりするだろう。これから3次元データやソリューションを扱う設計者は、「プロの道具」としてワークステーションを選ぶのがトレンドになりそうだ。

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tel. 03-6416-6333
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