不動産私募ファンドの運用資産総額は2007年末時点で11兆8000億円に達し、前年の調査から約4割増加した――。社団法人不動産証券化協会(ARES)が会員を対象に実施した「第3回私募ファンド実態調査」で、このような結果が明らかになった。同時点におけるREIT(不動産投資信託)の資産総額は6兆6000億円で、私募ファンド市場の規模がREIT市場を大きく上回った。

 調査は、協会会員のうち法律事務所、会計事務所などを除く245社を対象とした。このうち88社が計704のファンドを運用しており、保有物件総数は3592物件にのぼった。保有物件を用途別にみると、運用資産額ベースで47%がオフィス、15%が賃貸住宅、12%が商業施設、8%が物流施設だった。昨年に比べてオフィスのシェアが9ポイント減少し、物流施設、ホテル、複合用途物件などのシェアが拡大した。保有物件数ベースでもオフィスのシェアが縮小し、投資対象が分散化する傾向がみられる。

 ファンドの出口戦略としては、「他の私募ファンドへの売却」が46%、「REITへの売却」が7%、「REITとして上場」が3%、「その他」が43%だった。「REITへの売却」は昨年の20%から大幅に減少し、一方で「その他」の割合が大幅に増加した。ARESでは、「市場環境の変化を受けて、各社が出口戦略を決めかねている様子がうかがえる」と見ている。