不動産投資マーケットが調整局面を迎えるなか、三菱UFJ信託銀行不動産コンサルティング部は2008年3月に書籍「不動産マーケットはこうなる」(日経BP社)を出版した。書籍を通じて、今回の調整がデットを中心とした資金面から起きていることを再確認できる。今後のマーケットを読む上で特に重要となる海外資金の流れについて、書籍のなかから抜粋して寄稿いただいた。5回にわたって連載する。

第2回 特化型の国内系、総合型の外資系~~プライベート・ファンドが運用する資金

図 組み入れ資産の用途によるファンドのタイプ(国内系と外資系)


 図は、2006年調査で、プライベート・ファンドにおける物件タイプの組み入れ方を調べたものです。国内系は、一つのAM会社でオフィス特化ファンド(26%)、住宅特化ファンド(15%)、というようにタイプごとに分けて複数のファンドを運営することが多く見られます。特に、住宅特化ファンドは国内系ファンドの特徴であり、プライベート・ファンドで物件を蓄積して、一定の規模に達した段階でREITを組成して売却するという、いわゆる「REIT成り」を目指しているファンドもあります。

 外資系は、総合型の大型ファンドで何でも取得し、ファンドの数を増やさないものが主流(88%)です。海外投資家は「日本の不動産」という目で見て投資しているのであり、不動産の用途等でファンドを細かく分けても魅力的には映らないようです。また、海外投資家は、AMが自分の投資したファンドにベストを尽くすことを要求し、同一AMが複数ファンドを同時に運用することを嫌うため、AMもこれに対応したファンド運営になります。

 その中で、外資系は物流特化型のファンドの存在(9%)が特徴であり、成長を続けています。物流ファンドは、国内系も追随を始めています。