国土交通省は12月15日、海外の投資用不動産に関する鑑定評価ガイドライン案を公表した。2008年1月20日まで、パブリックコメントとして案に対する意見を広く募集している。

 ガイドラインは、投資家保護や鑑定評価の信頼性向上の観点から、海外不動産を鑑定評価する際の標準的手法を示したものだ。評価を進めるにあたっては、海外の現地で専門職業家として認定、公認された不動産鑑定人と連携することや、現地の評価基準を採用することを原則とした。

 現地鑑定人との連携に関して、「現地鑑定補助方式」と「現地鑑定検証方式」の二つの手法を示した。前者は、現地鑑定人から取引事例や市場動向など基礎資料の提供や評価作業への助言、支援を受けながら、日本の不動産鑑定士が評価するもの。後者は、現地鑑定人がまとめた鑑定評価報告書について、日本の不動産鑑定士が判断や評価額の妥当性を検証するものだ。これらのほか、依頼人への説明事項や現地鑑定人との契約の留意点などもガイドライン案に盛り込んだ。

 今回のガイドライン作成は、日本のREIT(不動産投資信託)による海外不動産投資の解禁に向けた環境整備を進めることがねらいだ。日本のREITの場合、標準的な鑑定評価手法が確立していないことなどから、東京証券取引所の上場規定で海外投資が禁止されている。