ジョーンズ ラング ラサール(JLL)は7月26日、世界56カ国・地域の不動産市場を対象に実施している「不動産透明度調査」の2006年版を発表した。調査によると、日本の不動産市場の透明度は、56カ国中23位にとどまった。ただし、日本はブラジルとイタリアに続いて、過去2年間で最も透明度が改善した国に挙げられており、順位は前回調査の26位よりも3位上がった。

 調査の判断基準は、(1)信頼のおける投資実績インデックス、(2)市場ファンダメンタルズにかかわる正確な情報、(3)上場企業の財務報告、(4)公正な法規制、(5)公正かつオープンな取引、の5分野27項目だ。JLLはこれらを総合してランキングを作成するとともに、各市場の透明度を「高」から「低」までの5段階にグループ分けし、その結果を2年ごとに発表している。

 透明度が最も高い「高」のグループに分類されたのは、オーストラリア、米国、ニュージーランド、香港などだ。日本はドイツ、マレーシアなどとともに2番目のグループ「中高」に位置しており、2004年の前回調査に比べて1段階向上した。

 日本市場の透明度が向上した理由として、米JLLのアジア太平洋地域リサーチ部門代表、ジェーン・マレー氏は、「REIT市場の発展により、売買価格や賃料といった具体的な物件データの流通量が増加した」ことを挙げている。海外の投資家が増え、英語で日本の不動産マーケット情報が流通するようになったことも、格付けの向上に貢献した。ただし、REIT保有物件が市場全体に占める割合はわずかで、不動産登記の際に取引価格の開示を義務付けているオーストラリアなどに比べると、日本の「市場ファンダメンタルズ」にかかわるデータはまだ不足している。

 不動産市場の透明度と投資家の流入には密接な関連がある。JLLの濱岡洋一郎社長は、「不動産取得価格が高騰した日本では今後、キャピタル・ゲインを得ることが難しくなる。一方で、低くても安定した利回りを求める年金基金などの投資家が年々増加している。こうした投資家の要求により、市場の透明度はより高まっていくだろう」と話している。

ジョーンズ ラング ラサールの発表

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