バブルのころ、流行したもの。ヤンエグ、異業種交流会、カフェバー、ジュリアナ、ホンダプレリュードなどなどたくさんあるが、スキーブームこそバブルの一つの金字塔と言えよう。87年にホイチョイ・プロダクションプロデュースの映画「私をスキーに連れてって」が封切られ、いちやく大ブレイクした。ユーミンや広瀬香美、ZOOといった面々の歌が流れるなか、2mの長い板でデモパンをはいてくねくねとショートターンで滑り降りるナウい若者が急増。当時、各地にスキー場が乱立し、北海道でもトマムやサホロ、ルスツ、キロロといったスキーリゾートがオープンした。

 あれから10余年。つい先日、そのうちの一つ、アルファリゾート・トマムに泊まってみた。ツインタワーが二つ、計4本のタワーが目立つリゾートホテルだ。実は、宿泊直前にこのリゾートを開発した関兵精麦とその子会社で運営を手掛けていたアルファ・コーポレーションが民事再生法の適用を申請していた。経営状態が厳しかったであろうことは、施設を見ても明らかだった。遠くからは立派に見えるツインタワーも、近くから見ると外壁が所々はく離して落ちていた。ペンキ塗装でごまかしていたが、手入れの悪さは否めなかった。

 不動産はつくるだけではだめで、うまく管理してナンボだ。特に賃貸物件の場合には、管理が悪ければテナントが離れ、物件の価値はどんどん落ちていく。競売物件も資金不足から適切な管理がなされていないケースが目立つが、少なくとも都会の物件では所有者が代わって再生されることが多い。宮崎シーガイア、ハウステンボス、アルツ磐梯などリゾートが厳しい時代を迎えているなか、すばらしい自然に囲まれたこのリゾートはどうなることだろう。

(三上 一大)