道を歩いているときなどに「おや、ここにあった建物が無くなっている。もともと何が建っていたんだっけ」と、以前の建物を思い出せないことはないだろうか。

 先日、デスクとの間で、東急不動産が取得した表参道のt's harajukuのことが話題になった。GAPが入居している商業施設だ。「そういえば、GAPの前って何があったんだっけ」という段になったところで、二人とも頭を抱えてしまった。どうしても思い出せない。調べてみたら、「原宿セントラルアパート」と呼ばれる原宿の文化をリードした建物だった。

 今年4月、原宿と渋谷をつなぐ明治通り沿いに、氷山のようなデザインで人の目を引きつける商業施設「The Iceberg」(ザ・アイスバーグ)が竣工した。さて、以前は何が建っていたのかを考えて、思い出すのに時間がかかった。地産の本社ビルだ。ちなみにThe Icebergと明治通りを挟んで同じ頃に完成した商業施設の「b6」は、日本たばこ産業(JT)の関連会社が経営していたホテル「原宿トリム」とJT社員寮の跡地に建っている。

 2006年9月にダヴィンチ・アドバイザーズが2000億円で取得したパシフィックセンチュリープレイス丸の内の近くに、「鍛治橋駐車場」があることをご存じだろうか。八重洲から東京国際フォーラムに抜けるときに左手に見える広い駐車場だ。ここに何があったかどうしても思い出せなかった。これだけ広い敷地にもかかわらずだ。

 かつて建っていたのは、東京都庁舎だ。周囲の人に聞いてみても、意外と思い出せない人が多かった。そもそも東京国際フォーラムも都庁の跡地に建っている。都に庁舎跡地のことを聞いたところ、「当面は駐車場のまま利用する」という答が返ってきた。

(田村 嘉麿)