日経不動産マーケット情報が2016年に伝えた、大型不動産取引を金額順に紹介する。1000億円を超える規模で1位となったのは三菱ふそうトラック・バスの170拠点。バルク取引の動きや、日本の不動産を保有する海外REITの私募化などが目立った。


[限]1位【1000億円超】 三菱ふそうポートフォリオ

三菱ふそうポートフォリオ、CBREグローバルインベスターズが出資

三菱ふそうトラック・バス(本社:川崎市)の170拠点を保有する特定目的会社の出資者は、CBRE Global Investorsのファンドであることがわかった。同ポートフォリオは、北海道から鹿児島県にまたがる店舗、整備工場、オフィス、モータープールなどで、PAGインベストメント・マネジメント(本社:港区)が2016年7月に売却していた。[記事]


[限]2位【970億円】 菱重プロパティーズ(株式の7割)

JR西日本、三菱重工の不動産部門を970億円で買収

JR西日本は2017年2月、不動産事業拡大のため、三菱重工業の子会社を買収する。マンション分譲などを手がける菱重プロパティーズ(本社:港区)の持分70%を取得するもので、価格は970億円。10月31日に発表した。今回の買収では足元の近畿・中国・北陸エリアだけでなく、首都圏をはじめとした域外での事業拡大に足掛かりを得る。[記事]


[限]3位【700億円弱】 Dプロジェクト有明I

大和ハウス系のユニクロ専用私募REIT、2000億円規模めざす

大和ハウス工業系のD&Fロジスティクス投資法人が2016年6月に運用を開始し、当初資産としてDプロジェクト有明Iを取得した。価格は700億円弱だ。投資法人は取得価格ベースの資産規模(AUM)を、5年後までに約1000億円、長期的には約2000億円へ拡大させる方針を示している。[記事]


[限]4位【660〜670億円】 ホテル グランパシフィック LE DAIBA(現・グランドニッコー東京 台場)

お台場のホテル グランパシフィックを取得、ヒューリック

ヒューリックは5月20日、港区台場にあるホテルグランパシフィックLEDAIBA(ル・ダイバ)を取得する。売り主は京浜急行電鉄。ヒューリックは価格などを明らかにしていないが、約670億円で優先交渉権を獲得していたとの情報がある。[記事]


[限]5位【約500億円】 晴海アイランドトリトンスクエア オフィスタワーY

晴海アイランドの住商本社ビル、イデラが約500億円で取得

イデラキャピタルマネジメント(本社:港区)は7月初め、中央区晴海1丁目の大規模オフィスビル、晴海アイランドトリトンスクエアオフィスタワーYの約7割を取得した。価格は約500億円とみられる。[記事]


[限]6位【461億円】 六本木ヒルズ森タワー

六本木ヒルズ4フロアを461億円で、森ヒルズリート

森ヒルズリート投資法人は1月6日、六本木ヒルズ森タワーの4フロアを取得することを決めた。売り主はスポンサーの森ビル。価格は461億円だ。取引は2回に分けて行う。まずは2月1日、25階の1フロア4098m2を112億円で取得する。4月1日には26階、27階、29階の3フロア1万2917m2を、349億円で追加取得する。[記事]


[限]7位【446億6000万円】 サイゼンREITポートフォリオ

対日投資REITを買収へ、ローンスターが446億円で

シンガポール市場に上場するSaizen Real Estate Investment Trust(サイゼンREIT)は、米ローンスターから全物件を買収するとの提案を受け取った。サイゼンは日本の賃貸マンションに特化したREITで、地方都市を中心として136棟、5421戸の住宅を運用している。[記事(初出2015年11月)]

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[限]8位【417億円】 日立製作所戸塚事業所の敷地

中外が日立から、戸塚の17万m2を取得

中外製薬は3月7日、横浜市戸塚区の土地約17万m2を取得すると発表した。売り主は日立製作所。価格は417億円で、1坪あたりに換算すると約81万円になる。同物件はJR戸塚駅の南約700mの場所にある。[記事]


[限]9位【320億円】 品川シーサイドパークタワー

投資法人みらい、三井物産とイデラのスポンサードで12月上場

投資法人みらいが12月16日、東京証券取引所に上場する。三井物産グループと、中国・復星集団(フォースングループ)傘下のイデラキャピタルマネジメントがスポンサーとなった総合型REITで、当初の運用資産は15物件。取得価格ベースの資産規模は1007億円だ。今年7番目の上場となる。[記事]


[限]10位【約300億円】 トレードピアお台場

フジテレビ隣の大型オフィスを取得、いちごが約300億円で

いちごは10月18日、港区台場2丁目のトレードピアお台場を、特別目的会社(SPC)を通じて取得する。売り主は三菱地所投資顧問のSPC。買い主のSPCの総資産は約300億円になる見込みで、価格もこれに近い水準とみられる。このうち34億5000万円をいちごが出資する。[記事]



11位〜20位(参考)
金額 名称 買い主 時期 記事
11 285億円 JRICポートフォリオ ブラックストーン・グループ 1月
12 270億円 ホテルビスタグランデ大阪 ジャパン・ホテル・リート投資法人 7月
13 266億円 ロジポート流山B棟 ラサールロジポート投資法人 2月
14 253億円 ロジポート北柏 ラサールロジポート投資法人 2月
15 250億6600万円 品川シーサイドイーストタワー インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人 6月
16 250億円以上 アバクロンビー&フィッチ銀座店 PGIM Real Estate(米プルデンシャル ファイナンシャル) 4月
17 246億7400万円 ホテルマイステイズ五反田駅前 インヴィンシブル投資法人 3月
18 237億円 ロジポート東扇島C棟 ラサールロジポート投資法人 2月
19 231億8200万円 川崎テックセンター 投資法人みらい 12月
20 230億2000万円 ロジポート相模原 ラサールロジポート投資法人 2月
【注】上記はいずれも2016年12月27日時点で価格が判明している事例のみを紹介した。時期は契約、引渡を含む。11位のJRICポートフォリオの金額は株式の買収価格を示しており、負債を含めた場合の企業価値は550億円強になる。同取引の株主総会での承認は2015年12月で、決済は2016年1月




REIT7銘柄が上場、東証インフラ市場もスタート

株式相場は海外の政情を受け不安定な動きを見せたが、REIT上場の動きは盛んだった。ただし2月上場のラサールロジポート投資法人を除くと、全体にサイズは小粒。大和ハウス工業系の私募REIT、D&Fロジスティクス投資法人は当初資産1物件で運用開始した。インフラ分野では東京証券取引所で取引市場がスタートしたのが大きなトピックだ。





2016年の新規上場REIT(新しい順。金額は当初運用資産)

運用開始した私募REIT

上場インフラファンド