運営権を民間事業者に売却する仙台空港のコンセッション事業で、優先交渉権者に選ばれた東京急行電鉄、前田建設工業、豊田通商などで構成する企業連合(以下、東急グループ)が、運営権対価として22億円を提案していたことがわかった。10月21日、国土交通省が審査の経緯を公表した。

 東急グループは、2014年度時点で年間324万人だった旅客数を2020年度に410万人、2044年度に550万人とする目標を掲げた。将来の旅客の約半数がLCC(格安航空会社)利用者だ。設備投資では旅客ターミナルビルの改修に加え、LCC用搭乗施設や立体駐車場を新設するなど、342億円の投資額を見込んでいる。

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 審査結果によると、東急グループは空港活性化に関する提案で、次点となった三菱地所を代表とする企業連合の得点を大きく引き離した。総合点では両者の差が約9点だが、空港活性化の項目で12点余りの差がついている。三菱地所連合は、運営権対価の額などを評価する項目では最高点を得ていた。

 東急グループは、旅客数の目標や新規需要につながるLCC誘致で高い評価を受けた。空港の利便性向上でも、目標に対する実現性が高いとみなされた。国交省は、利便性向上の達成度を測る客観的な指標を設定した提案を高く評価したと講評している。空港アクセスについては、鉄道事業者などとの連携に関して現時点での進捗状況も評価した。

 国交省は2次審査の前の1次審査についても、結果を明らかにした。2次審査に影響しない1次審査の得点だが、ここでも東急グループがトップで、イオン・熊谷グループが僅差の2位。三菱商事・楽天の企業連合は最下位だった。同企業連合は1次審査を通過したものの、2次審査には応募しなかった。