環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)を判断基準とするESG投資への関心が高まるなか、同投資に対する不動産事業者の取り組みを評価するGRESB(グレスビー:Global Real Estate Sustainability Benchmark)に参加する企業が増えている。背景には、海外でESGに配慮した不動産の方が賃料が高いという調査結果が増えていること、日本では政府主導で働き方改革が推し進められていることなどがある。

 第一生命保険はこのたび、日本の生命保険会社として初めてGRESBリアルエステイト評価に参加。最高位の「グリーンスター」を取得した。同社は資産運用全般においてESG重視の方針を打ち出しており、そのなかで不動産投資でも機関投資家としての社会的責任を果たすという観点から、GRESBへの参加を決めた。今後、日本でもESG重視の不動産が賃料や物件価値で高い評価を受けられるようになることを期待するという。

 リアルエステイト評価への参加者数は、2016年の45から2017年は53に増えた。内訳はREIT(不動産投資信託)が34、REIT以外の上場企業が3、非上場が16となっている。

 GRESBは2017年から、企業の開示情報を基にした独自評価「GRESB開示評価」を開始した。既存のリアルエステイト評価は参加企業が増えているものの、大手不動産会社の参加が少ないことが課題として挙げられていた。開示評価では、リアルエステイト評価に参加していない複数の大手不動産会社からも評価精度向上に寄与する協力が得られたという。開示評価の対象企業は46社だ。


日本市場からのGRESB参加者

■リアルエステイト評価
・上場37(うちREIT34)
アクティビア・プロパティーズ投資法人 †
アドバンス・レジデンス投資法人
イオンモール †
イオンリート投資法人
大和ハウスリート投資法人 *
大和証券オフィス投資法人 †
フロンティア不動産投資法人
GLP投資法人 †
平和不動産リート投資法人
ヒューリック
ヒューリックリート投資法人
いちごオフィスリート投資法人
産業ファンド投資法人 †
ジャパンエクセレント投資法人 †
日本ロジスティクスファンド投資法人 †
日本プライムリアルティ投資法人 †
ジャパンリアルエステイト投資法人
日本リテールファンド投資法人 †
ケネディクス・オフィス投資法人 †
ケネディクス・レジデンシャル投資法人
ケネディクス商業リート投資法人
ラサールロジポート投資法人
MCUBS MidCity投資法人
森ヒルズリート投資法人 †
森トラスト総合リート投資法人 *
日本アコモデーションファンド投資法人 *
日本ビルファンド投資法人
日本プロロジスリート投資法人 †
日本リート投資法人 *
野村不動産マスターファンド投資法人
オリックス不動産投資法人 †
プレミア投資法人
積水ハウス・リート投資法人
積水ハウス・レジデンシャル投資法人
東京建物 †
東急リアル・エステート投資法人
ユナイテッド・アーバン投資法人 †

・非上場16(12社)
アルファ・インベストメント・パートナーズ
ブラックロック
第一生命保険 *
DBJアセットマネジメント
ダイヤモンド・リアルティ・マネジメント
e-Shangレッドウッド
グローバル・ロジスティック・プロパティーズ †
グッドマングループ †
イデラ キャピタルマネジメント *
ラサール不動産投資顧問
野村不動産投資顧問
ザイマックス不動産投資顧問 †

■インフラストラクチャー評価
・参加者1
日本再生可能エネルギーインフラ投資法人

【注】カッコ内は会社数。1社で複数のファンドを運用している会社があるので参加者と会社の数が異なる。*は初参加、†は5年連続参加。英文表記のアルファベット順