コンセッション方式を導入する仙台空港(写真:国土交通省東北地方整備局)
コンセッション方式を導入する仙台空港(写真:国土交通省東北地方整備局)
[画像のクリックで拡大表示]

 国土交通省は9月11日、コンセッション方式を導入する仙台空港の優先交渉権者に、東京急行電鉄、前田建設工業、豊田通商などで構成する企業連合を選定したと発表した。マッコーリー・キャピタル・セキュリティーズ・ジャパン・リミテッドがファイナンシャルアドバイザーを務めている。2次審査を受けた3グループのうち、三菱地所を代表とする企業連合が次点だった。

 コンセッション方式は、滑走路などの所有権を国に残したまま運営権を民間に売却する仕組み。仙台空港の運営期間は30年。最長で65年まで延長することが可能だ。

 東急電鉄などは株式会社形態の特別目的会社(SPC)を設立し、12月に国と実施契約を結ぶ。2016年6月末に事業を完全に引き継ぐ予定だ。空港ビルの施設運営や滑走路の維持管理、着陸料の徴収などを担う。空港ビルと貨物ターミナルは現在、第三セクターが所有しており、東急電鉄などは第三セクターの全株式を宮城県などから約57億円で買い取る。運営権を含めた全体の提示額は明らかになっていない。

 仙台空港のコンセッションでは、売却価格を重視する関西国際空港・大阪国際空港とは異なり、空港活性化のアイデアを高く評価した。国交省航空ネットワーク企画課によると、東急電鉄などのグループの提案は(1)格安航空会社(LCC)を重視した施設整備、(2)空港ビル内の商業施設や案内機能の拡充、(3)鉄道やバス事業者との連携――といった新規需要の増大につながる計画が優れていたという。着陸料の割引や運用時間の延長などの提案も盛り込まれていたもようだ。

[画像のクリックで拡大表示]

 2013年度の空港別収支によると、事業価値の評価に用いるEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は、滑走路など航空系事業の収支が25億円の赤字、空港ビルなど非航空系事業の収支が10億円の黒字で、合計で15億円の赤字となっている。ただし、東日本大震災の復旧費用という特殊要因を含む数字だ。仙台空港の2014年度の乗降客数は約320万人。宮城県は将来の乗降客数を年間600万人にする目標を掲げている。