パナソニックと野村不動産などは3月28日、横浜市港北区綱島東に開発するTsunashimaサスティナブル・スマートタウン(Tsunashima SST)のまちづくり構想を明らかにした。二酸化炭素の排出量を2005年度の標準比で40%減、生活用水の使用量を同30%減、新エネルギーなどの利用率を30%以上といった目標値を設定。街区全体で米グリーンビルディング協会の環境評価基準「LEED」のまちづくり(Neighborhood Development)部門で、上位から2番目となるゴールドの認証取得をめざす。

Tsunashima SSTの全景イメージ。左がユニーの商業施設、右がアップルの技術開発施設、右奥が分譲マンション。すでに工事が始まっているアップルの技術開発施設は、太陽光パネルの設置や屋上緑化、水の再利用システムなどを導入する。街区内にはJXエネルギーの水素ステーションや慶応義塾大学の国際学生寮も設ける計画だ(資料:Tsunashima SST協議会)
Tsunashima SSTの全景イメージ。左がユニーの商業施設、右がアップルの技術開発施設、右奥が分譲マンション。すでに工事が始まっているアップルの技術開発施設は、太陽光パネルの設置や屋上緑化、水の再利用システムなどを導入する。街区内にはJXエネルギーの水素ステーションや慶応義塾大学の国際学生寮も設ける計画だ(資料:Tsunashima SST協議会)
[画像のクリックで拡大表示]

 LEEDのまちづくり部門は、環境や交通の負荷が少ない敷地利用や建物、インフラの整備などを評価する。最上位となるプラチナの認証を受けたプロジェクトは世界でも例がない。2番目のゴールドの認証を受けたのも、2016年3月時点で二子玉川ライズ(世田谷区玉川)だけだ。Tsunashima SSTがゴールドの認証を取得すれば、世界で2例目となる。

 Tsunashima SSTの総事業費は数百億円。携帯電話などを製造していた旧松下通信工業の工場跡地約3万7900m2を開発する。パナソニックは先端技術を投入して次世代のスマートシティを構築し、街づくりを事業の柱の一つに育てるためのノウハウを得る。

 同社は神奈川県藤沢市の工場跡地でも、三井不動産レジデンシャルなどとともに戸建て600区画、マンション400戸を中心とするスマートシティ、Fujisawa SSTの開発を進めている。Fujisawa SSTが郊外型のスマートシティをめざすのに対し、Tsunashima SSTは都市型のスマートシティをめざす。

 Tsunashima SSTの街区の北半分を占める敷地1万8300m2にユニーが入る商業施設を、南側の1万2500m2に米アップルが技術開発施設を、3600m2に野村不動産とMID都市開発が戸数94の分譲マンションをそれぞれ建設する。東京ガスのコージェネレーションシステムや一括受電によって電気や温冷水を供給するほか、用途が異なる複数の施設間で廃熱利用などのエネルギー融通を実現する。