今年も残すところ1カ月余り。振り返ってみると、フランスで相次いだテロ、BREXIT(ブレキジット)、フィリピン・ドゥテルテ大統領の台頭、北朝鮮の核実験、シリアをめぐる米露対立、極め付きはトランプ氏の米大統領選勝利……と、世界的には波乱に満ちた年でした。

 驚きの多かった2016年ですが、先だって博多駅前に突如現れた大穴にもびっくり。日経不動産マーケット情報2016年12月号は福岡の不動産投資市場を特集しているのですが、その編集真っただ中の出来事でした。福岡ではオフィスビルの新規供給が少なく、稼働率が上昇。少ない投資先をめぐって価格も高騰中です。そんななか注目を集めているのは、市の「天神ビッグバン」構想。容積率の緩和などでインセンティブを与え、ビルの建て替えを促そうという取り組みです。特集では同構想をめぐる事業者の動きとともに、市中心部の主な不動産取引を地図と一覧表にまとめていますので、ぜひご覧ください。

 一方、東京と横浜では活発な開発が続いています。本誌が四半期ごとに実施している建築計画調査によると、2016年7月~10月に事業者が届け出た計画は、主なものだけでも69件。総延べ床面積は241万m2に及びます。なかにはオリンピック施設となる有明アリーナも。どこでどのような開発が計画されているのか、12月号でご確認ください。

 売買レポートは、CBREグローバルインベスターズがPAGから1000億円超で取得した自動車メーカー170拠点や、大和ハウス工業系の私募REIT(不動産投資信託)が700億円弱で取得したユニクロ向け物流施設、いちごが300億円で取得したトレードピアお台場など、22案件を収録。これらを含む取引事例115件を一覧表にまとめました。

 福岡の陥没事故はわずか1週間ほどで埋め戻されました。一方、トランプ氏は米国社会に開けた大穴をふさぎ、より良い社会、活力に満ちた経済へと導けるでしょうか。日本の不動産市場にも影響を与えるだけに、2017年1月に始動する米新政権の動きから目が離せません。

三上 一大