渋谷マークシティの中に、行列のできるすし店があります。リーズナブルな価格でずいぶん前から人気でしたが、最近は行列のほとんどを外国人が占めることもしばしば。駅前のスクランブル交差点と並んで、外国人比率の高いスポットになっています。訪日外国人数は今年9月時点ですでに1450万人に達し、目標だった年間2000万人に達する勢い。政府は目標を上方修正する検討に入りました。日経不動産マーケット情報2015年12月号は福岡の不動産投資市場を特集しましたが、外国人による購買行動(インバウンド消費)は当然、かの地にも大きな影響を与えています。ホテルの稼働率は高止まりし店舗売上も増加。数少ない投資機会をめぐって不動産価格の上昇が顕著になっています。特集では、市中心部の取引事例と開発動向を地図と一覧表にまとめていますので、ぜひご確認ください。

 このたび、日本生命保険が私募REIT(不動産投資信託)を組成することが明らかになりました。運用開始は2016年夏。中長期的には3000億円の規模をめざすといいます。信用力の高い同社と物件を共有する形で運用資産を構成するとあって、投資家の人気を集めそう。いずれ外部からも物件を取得するそうですが、長期投資を旨とするプレーヤーが増えるなか、優良資産の確保をめぐってますます競争が過熱しそうです。この記事は12月号のダイジェストに収録しています。

 売買レポートはヒューリックが取得した銀座ウォールビルや、ローンスターによる大阪・梅田駅近くの大型複合ビル売却、メットライフ生命が取得した新宿の店舗ビルなど、25事例を収録。これらを含めて127件の取引事例を一覧表にまとめています。

 なお小誌では12月15日(火)に、「インバウンド需要で動き出す 新・不動産ビジネス」と題するセミナーを開催します。さらなる需要増が見込めるホテル市場や、Airbnb(エアービアンドビー)をはじめとする民泊市場、中国人の爆買いで注目を集める店舗市場の各専門家を招き、足元の動向と今後の不動産市場に与える影響、新ビジネスの可能性を解説します。2020年に向けたメガトレンドをお見逃しなく。

三上 一大