タイのプミポン国王が亡くなり、同国全体が喪に服しています。民間では1カ月がその期間とのことですが、国民の国王への敬愛ぶりからいって、もっと長く続くとの見方があります。タイといえば、いまや訪日観光客の4%強を占める一大勢力。購買意欲も旺盛なため、国王崩御は日本のインバウンドビジネスに少なからぬ影響を与えそうです。

 日経不動産マーケット情報2016年11月号は、ここ数年、インバウンドで盛り上がりを見せてきた銀座を特集しました。銀座では中国人による高級ブランド品の爆買いが一服。相次ぐ出店でうなぎ上りだった店舗賃料は、春先から横ばいに転じました。鳴り物入りで開業した大型免税店も閑散としているそうです。そのようななかでも不動産取引は活発で、取引利回りの低下が続いています。超低金利が長期化するなか、価格高騰もこの先続くのか。特集では最近の取引事例や開発動向を、地図と表にまとめていますので、ぜひご覧ください。

 オフィス市場でも、賃料の伸び悩みが鮮明となっています。小誌が東京・大阪・神奈川で実施している成約賃料調査では、この半年間、主要オフィスエリア26カ所のうち24カ所で横ばい。賃料水準をけん引するはずの東京駅周辺も、今年に入ってからは無風の状態です。11月号には各エリアの成約賃料水準を掲載。ウェブサイトでも詳細版を載せています。

 四半期に一度の売買事例分析では、7月~9月の動向をまとめました。REIT(不動産投資信託)の動きは引き続き活発ですが、そのほかのプレーヤーは影が薄くなりつつあります。小誌調査に基づく売買件数は前年同期と比べて9%低下。売買金額は33%の減少となりました。銀座では価格高騰が続いているものの、マーケット全体の取引金額は5四半期連続の前年割れとなり、市場は停滞気味です。詳細は11月号でご確認ください。

 売買レポートは、6月に運用を開始した京阪電鉄系私募REITによるインテージ秋葉原ビルの取得や、丸井が130億円で売却した旧マルイヤング館、タイの不動産会社による北海道ニセコのリゾート用地取得など20事例を掲載。これらを含む取引事例110件を一覧表にまとめています。

三上 一大