沖縄の観光が沸騰しています。2015年の観光客は過去最高の776万人。うち150万人は海外から沖縄に直接訪れた外国人で、同県の人口140万人を上回りました。地理的な近さも手伝い、海外客の93%を台湾、韓国、中国(本土)、香港からが占めており、空路のみならずクルーズ船での来訪も多いようです。こうしたことを背景に盛り上がりを見せているのがリゾート開発。1980年代後半、2000年代中盤と、好景気が訪れるたびに注目を集めてきましたが、今回もその波が押し寄せています。大手不動産会社が続々と参入。かつての破綻プロジェクトをよみがえらせています。日経不動産マーケット情報2016年10月号では、その様子を現地レポート。地図と写真を使い、湧き起こるトレンドをお伝えしています。

 東京のオフィス市場に目を転じると、沖縄に負けず劣らず多くの開発プロジェクトが進行しています。10月号では、築2年以内の竣工物件と、今後1年以内に完成する未竣工物件の稼働率(内定率)を調査しました。対象は延べ床面積1万m2以上の大規模オフィスビルです。未竣工物件の平均内定率は34%となり、半年前の同じ調査と比べて20ポイント低下しました。賃料上昇が大きな要因。景気先行きへの警戒感から、テナントはより手ごろな既存ビルへの移転を志向しています。記事では、ビル51棟の稼働率(内定率)をグラフで表示していますので、ご覧ください。

 売買レポートでは、オンワードが銀座の土地を1坪あたり1億4000万円超で阪急電鉄に売却した事例や、同じく銀座でヒューリックが取得した銀座東和ビル、京阪電鉄が私募REIT(不動産投資信託)に組み入れた大型オフィスビルなど、20事例を紹介。これらを含む取引122件を一覧表にまとめています。

 インバウンドへの期待が集まる日本ですが、不動産の中長期のトレンドを見据えれば、アウトバウンドを視野に入れる必要があるでしょう。そこで、日経不動産マーケット情報では10月19日(水)、海外不動産投資をテーマとしたセミナーを開催することにしました。CBREの前澤威夫氏、大和不動産鑑定の浅野美穂氏、玄海キャピタルマネジメントの松尾正俊氏、さらにシンガポールからクリードの宗吉敏彦氏を迎え、アジアにおける不動産オポチュニティーと投資における課題を、実体験に基づき解説していただきます。詳細はこちら。皆様のご参加をお待ちしています。

 また9月30日(金)には、オフィス移転と原状回復費に関するセミナーも開催します。数年来の建設費高騰を受け、オフィス移転時の原状回復費用は大きく膨らみ、オーナーとテナントがトラブルになることも。テナントから「費用が高すぎる」と不満が寄せられたとき、何を根拠に話し合いをすればよいのか。そもそも入居時にどのような契約を結んでおくべきなのか。こうした現場を見てきた専門家が、問題の根幹に切り込みます。テナントの満足度を向上させるためのノウハウとしても、聞き所の多い催しです。詳しくはこちら。開催時期が迫っております。お申し込みはお早めにお願い致します。

三上 一大