円安基調のなかにあって、企業による海外投資はむしろ積極化しています。最近も東京海上ホールディングスや明治安田生命保険、住友生命保険が相次いで米保険会社を数千億円規模で買収すると発表。日本経済新聞社は英フィナンシャル・タイムズを1600億円で傘下に収めます。人口ボーナスが望めない日本では、企業が成長の芽を海外に求めることは自然の流れでしょう。不動産業界も例外ではありません。日経不動産マーケット情報2015年9月号では、不動産会社のアウトバウンド戦略を特集しました。ニューヨーク、ロンドンに着目し、投資事例を一覧にしています。今号の発行後も、ユニゾホールディングスがニューヨークのビルを300億円余りで取得することを明らかにしており、今後も海外投資は増えていきそうです。

 本誌では今号から新コラム「開発トレンド」をスタートしました。四半期ごとに東京・横浜での建築計画を一斉調査。本誌ウェブサイトで報道した案件と併せ、開発プロジェクトの動向をレポートしていきます。今回の調査では、79件、総延べ床面積158万m2の計画が始動したことがわかりました。アップルが横浜市内に設けるテクニカル・デベロップメント・センターもここに含まれます。どこでどのような開発計画が立ち上がったのか、ぜひこの新コラムでご確認ください。

 売買ニュースは、PAGインベストメント・マネジメントが米GEから1000億円相当、米ケネディ・ウィルソンから600億円相当のポートフォリオを取得した事例や、東京海上グループの私募REIT(不動産投資信託)による川崎ソリッドスクエアの取得、兜町かいわいの再開発を進める平和不動産がビル2棟を相次ぎ取得したケースなど、22案件を収録。これらを含む取引事例203件を一覧表にまとめています。

 なお日経不動産マーケット情報では9月、東京都心7区の主要オフィスビル3000棟を網羅した「オフィスビルデータベース」をリリースします。ビルの基本スペックのほか、所有者、入居テナントをまとめたもので、月次でデータを更新してまいります。詳細はこちらまで。また、調査結果や活用方法を解説する 無料セミナーを開催します。ふるってご参加ください。

三上 一大