日経不動産マーケット情報は定期的に地域特集を掲載していますが、最近の悩みは話題が「ホテル」に集中しがちなこと。今のトレンドを伝えるとなると、どうしても避けては通れません。そこで、同じホテルを取り上げるにしても、いかに地域の特色を浮き彫りにするかが、記者の腕の見せ所となります。2016年9月号の名古屋特集では“宿泊者層”に焦点を当て、市場を解説しました。他都市と比べてどのような違い、ポテンシャルがあるのか……。この特集でぜひご確認ください。

 9月号では、四半期ごとに実施している東京・横浜の建築計画調査も掲載しています。東京都心5区と横浜市は延べ床面積3000m2以上、都心5区を除く18区は1万m2以上が対象。直近3カ月では72件、総延べ床206万m2分の建築標識が設置されたことがわかりました。最多は30件の住宅ですが、オフィスビルや店舗の計画に混じり、ここでも目立つのがホテル。新たに7プロジェクトが始動しました。加えて、本誌の取材によって標識設置前のホテル計画3件が明らかに。いずれも2020年の東京オリンピック前の開業をめざしています。

 売買レポートは、米プルデンシャルグループがファンドに組み入れたアバクロンビー&フィッチ銀座店や、イデラ キャピタルマネジメントによる晴海アイランドトリトンスクエアへの500億円投資、セガサミーが120億円で売却した心斎橋の店舗など、20案件を掲載。これらを含む取引事例162件を一覧表にまとめています。

 注目レポート欄では、ジョーンズ ラング ラサールによる恒例の「グローバル不動産透明度インデックス」を紹介しました。不動産市場の透明性を国・地域別に順位付けしたものですが、日本は年々順位を上げ、今年は19位に。原動力となったのは、情報公開に積極的なREIT(不動産投資信託)の市場拡大です。今年はすでにラサールロジポート投資法人、スターアジア不動産投資法人、マリモ地方創生リート投資法人、三井不動産ロジスティクスパーク投資法人が上場しました。さらに、ダイジェスト欄に掲載したように、大江戸温泉リート投資法人、豪証券取引所から鞍替えしたさくら総合リート投資法人が上場目前です。市場の透明性向上は、2002年に小誌を創刊した目的でもあります。今後も順位上昇に向け、貢献してまいります。

 さて、小誌は9月30日(金)にセミナーを開催します。数年来の建設費高騰を受け、オフィス移転時の原状回復費用は大きく膨らんでいます。時にはオーナーとテナントがトラブルになることも。テナントから「費用が高すぎる」と不満が寄せられたとき、何を根拠に話し合いをすればよいのか。そもそも入居時にどのような契約を結んでおくべきなのか。こうした現場を見てきた専門家が、問題の根幹に切り込みます。テナントの満足度を向上させるためのノウハウとしても、聞き所の多い催しです。詳しくはこちらをご覧ください。

三上 一大