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 日経不動産マーケット情報は毎年、東京23区における大規模オフィスビル(延べ床面積1万m2以上)の開発計画を定量調査し、特集にまとめています。今年の調査では、計画中のビルの総延べ床面積がついに1000万m2の大台に乗りました。15年前の調査開始以来、初めてのことです。

 とみに目立つのはプロジェクトの大型化。例えば10年前の調査では1棟あたりの平均延べ床面積は5.2万m2でしたが、その後一度も下回ることなく拡大が続き、今年の調査では9.4万m2に達しています。ビル大型化は効率性を求める企業のオフィス集約ニーズに合致するところではあるのですが、絶対的な需要がどれほどあるのか、高額な事業費に見合う賃料が得られるかについては、弱気の見方も少なくありません。

 特集では、個々の開発計画を地図にプロット。どこでどのような計画があるのかが一目でわかります。ウェブサイトでは特集記事に加え、カラー版のマップを掲載しています。なお、詳細な調査データをまとめたエクセルシートや、印刷可能なマップなどを収録したCD-ROM「これからできる大規模オフィスビル調査データ2017」もご用意しましたので、ご活用ください。

 さて、ここ数年で注目を集め始めたセクターに「底地」があります。これまで地味な存在でしたが、上場REIT(不動産投資信託)による投資実績は2017年までに100件を数え、投資家の認知度も急速に高まりつつあります。日経不動産マーケット情報2017年6月号では、そんな底地を取り巻く環境変化と投資の動きを解説しました。日本で初めて底地特化私募REITを立ち上げた地主アセットマネジメントの社長へのインタビューも掲載。市場のトレンド把握にお役立てください。

 売買レポートでは、香港のファンド運用会社ガウ・キャピタル・パートナーズが800億円台半ばで取得したみなとみらいセンタービルや、近鉄不動産が80億円台半ばで取得したTH銀座ビル、野村不動産マスターファンド投資法人が127億円で区分所有権を売却した天王洲パークサイドビルなど25事例を掲載。これらを含む取引事例110件を一覧表にまとめました。このほか、四半期ごとに実施している東京・横浜の建築計画調査、企業移転や開発のニュース、マーケットレポートの紹介など、今号も盛りだくさんの内容となっています。

三上 一大