東アジアではここのところ北朝鮮をめぐる話題で持ちきりですが、欧州に目を転じると、彼の地ではEU(欧州連合)の先行き不安やBREXIT(英国のEU離脱)に対する懸念が渦巻いています。日経不動産マーケット情報2017年5月号では、南仏カンヌで開催された世界最大の不動産コンファレンス、MIPIM(ミピム)を特集しました。不動産関係者の間で交わされている議論や、市況の最新情報など、世界の不動産投資市場でいま吹いている風を現地取材を通じてお届けします。ぜひご覧ください。

 日本の景気は、緩やかながら52カ月連続で回復基調にあり、戦後3番目の長さを記録しました。不動産投資市場では、この第1四半期(1月~3月)の取引高(本誌把握分)が1兆2463億円に上り、2四半期連続で前年を上回っています。5月号ではこうした売買市場の分析記事も掲載しました。期間中に判明した大型取引のランキングや、個別ビルの推定利回りなども収録しています。

 5月号ではこのほか、四半期ごとに実施しているオフィスビル成約賃料調査を掲載しました。大阪ではAクラスビルを中心に品薄感が強まっており、賃料も強含みの展開となっています。一方、東京では空室率低下を背景に一部のビルオーナーが提示価格の引き上げを図ったものの、市場全体には波及していません。成約水準はほぼ横ばいで推移しています。売買分析と併せ、市況を読む材料としてご利用ください。

 売買レポートは、ヒューリックなどが665億円で取得したTOCみなとみらいや、同じくヒューリックが600億円を投じた三菱重工横浜ビル、グローバル・ワン不動産投資法人と明治安田生命保険が240億円で取得した品川シーサイドウエストタワーなど23事例を掲載しました。また、これらを含む144物件の取引を一覧表にまとめています。

 なお小誌は定期的に、シンクタンク、証券会社、仲介・アドバイザリーの3分野から各業界を代表するアナリスト十数人を招いて今後のオフィス市況を予測しています。同企画が5周年を迎えるにあたり、記念セミナーを開催することにしました。タイトルは「トランプ時代のオフィスビル市況を読む」。4月20日(木)に東京・大手町で開きます。開催日が迫っていますので、参加ご希望の方はお早めにお申し込みください。

 また、上場以来8年で経常利益5倍、社員の年収2倍と驚異的な成長を遂げるヒューリックの秘密を、西浦会長自らが語る書籍「ヒューリック ドリーム」も4月に発行しました。全国の書店、オンライン書店などで好評発売中です。

三上 一大