五輪開催の決定を機に大改造が進み始めた東京は、どのように変わるのか。東京に住み、働く人の暮らしは2020年までに、そしてその先、どのように変わるのか。1月に発売したムック「東京大改造マップ2016-2020」では、その近未来を見通すための最新情報をまとめている。
2016年、東京五輪の開催まで「あと4年」──つまり、リオデジャネイロ五輪(第31回、8月5日~21日)の開催年を迎えて、いよいよ次回開催都市としてバトンを託される節目の年となる。
前年版「東京大改造マップ」でも解説しているように、五輪開催年の2020年前後の東京には、重要な都市機能の強化、あるいは更新のための1つの山場がやって来る。そうした中で東京都は、自身のグランドデザインを描く際の目標年を「2040年」と打ち出した。2014年に公表した東京都長期ビジョンが10年後の“2024年の東京の姿”を前提に政策目標をまとめたのに対し、射程距離をさらに倍にした取り組みも検討を進める、ということだ。
[参考] 東京都政策企画局「東京都長期ビジョン」
やわらかな「グランドデザイン」
舛添要一東京都知事は2015年9月、東京都都市計画審議会(都計審)に対する諮問事項として「2040年代の東京の都市像とその実現に向けた道筋について」を示した。「将来の社会経済情勢の大きな変化にも的確に対応できる都市として、東京が持続的に発展していくためには、都市づくりが構想から実現までに長い時間を要することを踏まえ、長期的な視点を持ち、都市づくりを進めていく必要がある」と、改めて要請している。
[参考] 東京都都市計画審議会諮問文「2040年代の東京の都市像とその実現に向けた道筋について」
これに先立ち、都は同6月、舛添知事を委員長とする「東京のグランドデザイン検討委員会」を設置し、有識者・専門家との間で意見交換を行った。
建築・街づくり関係者では、建築家として工藤和美氏が「東京にデザインを」、藤村龍至氏が「朽ちる東京から考える」、馬場正尊氏が「RePUBLIC TOKYO」「ReNOVATION」、またコミュニティーデザイナーの山崎亮氏が「No Community, No life.」といった言葉を使い、それぞれの観点を提示。「ハード(モノ)」以上に運営やマネジメントの重視を感じさせる人選、そして都市のテーマが、そこに表れている点が興味深い。
[参考] 東京都政策企画局「東京のグランドデザイン検討委員会」
さらに同9月には、都計審の下に都市づくり調査特別委員会を設置。専門的な見地からの調査・検討を開始している。「東京大改造マップ2016-2020」では、同委員会の委員である法政大学の保井美樹教授と、経営の視点から都市再生・地域再生に取り組む第一人者であるエリア・イノベーション・アライアンスの木下斉代表理事による、長期的な視野からの対談を収録している。
この対談は、一極集中が進む東京において、新しい生活のスタイルをつくる必要性、特に“職”と“住”の関係を改めて問い直す、という課題を都市経営や都市構造などの面から投げ掛けている。
[参考] 東京都都市整備局「都市づくり調査特別委員会」