東京大改造

激混みの南砂町駅、地下広げ2面3線に

2018/01/09

日経コンストラクション

 全国ワースト混雑率の東京メトロ東西線。その南砂町駅では、線路やホームを増設する改良工事が進む。総事業費は340億円。2020年度の完成を目指す。2017年12月中旬、大林組・前田建設工業・西武建設JVなどが施工する現場を地上から見た。

35‰(パーミル、1000分の35)の急坂を駆け下り、南砂町駅へ進入する東京メトロ東西線の電車。南砂七丁目交差点の上に架かる鉄橋は新砂架道橋(写真:大野 雅人)
海側を向く南砂町駅仮設出入口。拡幅工事はこの仮設出入口から都心方向で行われている(写真:大野 雅人)
南砂町駅タクシー乗り場から南砂町駅仮設出入口方向を見る。このロータリーの直下付近に、西船橋方分岐器が設置される(写真:大野 雅人)

 1969(昭和44)年に開業した南砂町駅(江東区南砂3)は、もともと洲崎川と呼ばれる運河の下にケーソン工法で築造した。開業から19年が経った88年には、洲崎川が埋め立てられ、駅の上は道路と民有地として整備された。

 この南砂町駅の改良工事は、既存の島式ホーム1面とそれを挟む上下線路から、島式ホーム2面と線路3線に広げる。

改良後の南砂町駅イメージ。既存ホームの海側空間を掘削し、新たにホームや線路、分岐器を置くイメージ(資料:東京メトロ)
改良後の標準断面。都心側を背にして、西船橋方を見たイメージ。営業運転を続けながら、既存空間の外側を広げていき、海側にホームと線路を設置する(資料:東京メトロ)

 さらに、地上出入口を結ぶ階段とエスカレーター、エレベーターがホーム両端部分にある現状を改善。地下1階部分にコンコースを新設し、地下2階部分にあるホームとつながる階段やエスカレーターなどを、ホーム中央部分に再配置し増設する。利用者の動線もホーム中央側に集約させる。

工事完了後のイメージ。海側にホームや線路を置き、2面3線のホーム構造に改良。利用者の動線もホーム中央側に集約させる(資料:東京メトロ)

 このように地下で進む大工事だが、利用者が普段目にするホームから工事の様子は見えない。

急坂・急カーブのはざまに新たなホーム

新設ホームができる海側空間の地上部分。写真奥にヤマダ電機 テックランドNew江東新砂店やアシックスジャパン本社ビルが見える(写真:大野 雅人)

 洲崎川の直下にケーソン工法で造った南砂町駅。ホームは曲率半径500mの曲線上にあり、すぐ都心側には曲率半径203mという急曲線が存在する。また駅の1km東には、全長1.2kmの荒川中川橋梁があり、35パーミルという急坂で地上とつながっている。

南砂町駅付近縦断面図。地下駅と荒川中川橋梁の間は、35パーミルの急勾配で結ばれている(資料:東京メトロ)

 同駅を通過する下り快速電車は、中野側の急カーブ通過のため低速で進入。急カーブを抜けきると、今度は加速へと転じて西船橋側の急勾配を駆けていく。

 こうした構造を踏まえ、2面3線化工事は、既存ホームの海側(南側)を拡幅し、新たなホーム1面を設置。完成すると、真ん中の線路に列車を発着させることで、同一方向列車の交互発着が可能になり、列車遅延時に後続列車をホームへ着けられる。

南砂町駅2b出入口を背にして都心方向を見る。南砂町駅ホームはちょうどこの直下に敷かれている。写真左手が海側で、ヤマダ電機 テックランドNew江東新砂店やアシックスジャパン本社ビルの境界線手前まで地下空間が拡幅され、新たにホームや線路が置かれるイメージ(写真:大野 雅人)
新設ホームのすぐ南には、江東区新砂3エリアのビル建設工事も始まった(写真:大野 雅人)

 また、上下線から真ん中の線路に進入できる分岐器を設け、折り返し運転ができる機能も追加。異常時の列車退避や折り返しにも対応させる。

 地上から手を入れて、60年代に造られた地下駅空間を広げていく工事が進む南砂町駅。北側は江東区立第三砂町中学校や南砂三丁目アパートみどり団地、南側はヤマダ電機 テックランドNew江東新砂店やアシックスジャパン本社ビルに挟まれた細長い敷地の下で、地下空間を広げホームと線路を新設する工事が始まっている。

南砂町駅2a出入口を背にして南砂町駅前公園交差点を見る(写真:大野 雅人)
南砂町駅2b出入口を背にして南砂町駅タクシー乗り場や駅前商業施設・アルカナール南砂を見る(写真:大野 雅人)

(関連記事:混雑率ワースト返上なるか、東西線で進む大改良

<訂正>改良後の標準断面の説明文は向きが逆でしたので、「都心側を背にして、西船橋方を見たイメージ」に訂正しました。(2018年1月9日午前11時45分)

大野 雅人=フリーエディター日経コンストラクション