世田谷代田駅に到着、仮設ホームは閉鎖に

 現在、使用されている世田谷代田駅地下2階の仮設ホームだ。複々線となると、急行が停まらない世田谷代田駅では、この仮設ホームは閉鎖され、地下1階の緩行線のホームに移る。

(写真:大上祐史)
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 最後に、新しい世田谷代田駅を見る。地上1階には複々線化事業について知ることができる小田急環境ルームが常設されている。

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 世田谷代田駅は、LED照明や光ダクト、人感知エスカレーター、回生電力エレベーター、地中熱ヒートポンプシステム、自然換気、太陽光発電システムといった、自然の力を最大限に活用する仕組みが採用されている。

 回生電力エレベーターは、エレベーター運転時に発生する回生電力をバッテリーに蓄電し、蓄電した回生電力と通常電力を併用する。

 地中熱ヒートポンプシステムは、冷暖房に使用する冷媒の温度を一年中15℃と一定している地中の温度を使うことで、消費電力を少なくしCO2排出量削減につなげるものだ。

 壁面と天井の隙間に空間がある。室内外の温度差によって生じる室内空気の比重差と風力による自然換気を採り入れている。

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 工事エリアとなっている新宿側から駅舎を見た。屋上から採光した太陽の光を、鏡の反射で地下階まで運ぶ光ダクトを確認できる。

(写真:大上祐史)
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 「小田急電鉄 複々線開通前最後の工事現場説明会」はここまでとなる。最後の質疑応答で小田急電鉄複々線建設部の宮原賢一課長は「事業を安全確実に焦ることなく完了させる」と宣言した。

(写真:大上祐史)
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 18年3月3日の始発電車から、代々木上原駅─梅ヶ丘駅間において複々線での運転を開始する。また、3月17日より土曜・休日用、3月19日より平日用の新しいダイヤでの運行となり、以下のようなメリットが生まれる。

  • 列車大増発で混雑緩和
  • 所要時間短縮
  • 乗り換えなしで都心へ移動可能
  • 座って快適通勤

工事の概要は以下の通り。

  • 工事名:小田急小田原線連続立体交差工事・複々線化工事
  • 工事費:約1662億円
  • 発注者:小田急電鉄
  • 受注者:
     第3工区/下北沢駅─世田谷代田駅間:大成建設・前田建設工業・西松建設・銭高組・三井住友建設JV
     第4工区/世田谷代田駅:清水建設・鴻池組・大豊建設JV
筆者の大上祐史さんは、インフラ建設現場の見学会などに積極的に参加してリポートするウェブサイト「ラジエイト」を運営しています。