東京大改造

首都高羽田線、切り替え前に新旧見比べ

2017/09/12

日経コンストラクション

(写真:大上祐史)

 首都高速道路の1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)は、長年にわたる過酷な使用で多くの損傷が発生し、構造物の大規模更新が進められている。2017年(平成29年)9月14日、上り線が仮設の迂回路に切り替わる。10年続く工事の第1ステップだ。

 切り替え直前の9月6日、報道機関に「首都高速道路 羽田線(上り)東品川付近の迂回路現場公開」が行われた。現場公開の会場は、鮫洲運転免許試験場付近の、1号羽田線に隣接している東品川桟橋・鮫洲埋立部の現場詰所となる。

(写真:大上祐史)

 午前10時50分より、セミナールームで工事全体説明が行われた。首都高速道路社東京西局プロジェクト本部本部長の山口修一氏による主催者代表あいさつ、東京西局プロジェクト本部更新事業部長の伊原茂氏による工事概要説明と続く。

(写真:大上祐史)

 首都高速道路は、総延長約319kmのうち、40年以上を経過した路線が全体の約4割(約111km)、30年以上を経過した路線が5割以上(約173km)に達し、道路の高齢化が進んでいる。また、過酷な使用状況や激しい腐食環境などから重大な損傷が多数発生し、長期的な安全性を確保する必要が出てきている。

 そこで、「大規模更新事業」として以下5カ所の延長合計約8kmについて、大規模な構造物の更新(造り替え)が進められることとなった。

  • 1号羽田線 東品川桟橋・鮫洲埋立部
  • 1号羽田線 高速大師橋
  • 3号渋谷線 池尻~三軒茶屋出入口付近
  • 都心環状線 竹橋・江戸橋JCT付近
  • 都心環状線 銀座・京橋出入口付近

 1963年(昭和38年)の開通から50年以上が経過した1号羽田線の東品川桟橋・鮫洲埋立部は、コンクリート剥離や鉄筋の露出など損傷が目立つ。

(写真:首都高速道路会社)

 延長約1.9kmを造り替える1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)が、最初に着工された大規模更新事業となる。東品川桟橋は延長約1.3km、鮫洲埋立部は延長約0.6kmだ。

(資料:首都高速道路会社)
(資料:首都高速道路会社)

 今回の更新事業では、長期的な耐久性や将来の維持管理性に配慮した構造として、1号羽田線を海水面や交差構造物(一般道)および並行する東京モノレールから一定の距離を確保した高架橋に造り替える。

最初のステップ、迂回路が完成

 1日に約7万台が通行している1号羽田線の機能を止めることなく、更新の工事が行われている。迂回路を上り線の横に設置して、2016年2月から段階的に工事が進む。工事に伴い、大井ジャンクション(JCT)の湾岸線から羽田線に接続する区間は通行止めとなっている。

  • ステップ1:上り線の迂回路を設置(現在)
  • ステップ2:従来の上り線を造り替え
  • ステップ3:下り線を造り替え
  • ステップ4:迂回路を撤去
(資料:首都高速道路)

 2017年(平成29年)9月14日午前1時より、上り線は迂回路に切り替わる。

 全体の完成時期は、2026年度(平成38年度)が予定されている。車線は4車線で、幅員を17mから18.2mに拡幅される。

 工事の概要は以下の通り。

  • 工事費(消費税を含む):約912億円
  • 発注者:首都高速道路会社
  • 施工者:大林組・清水建設・三井住友建設・東亜建設工業・青木あすなろ建設・川田工業・東京鉄骨橋梁・MMB(エム・エムブリッジ)・宮地エンジニアリングJV

現場詰所の屋上から見る迂回路

 セミナールームに併設されているインフォメーションセンターで、1号羽田線の東品川桟橋・鮫洲埋立部について知ることができる。

(写真:大上祐史)

 詳細な模型が展示されている。

(写真:大上祐史)

 現場詰所の屋上から、1号羽田線の東品川桟橋・鮫洲埋立部を見渡す。南側となる羽田空港方面。

(写真:大上祐史)

 北側となる都心環状線方面。左から新設された迂回路、供用されている1号羽田線、東京モノレールの軌道となり、下部には京浜運河が流れる。

(写真:大上祐史)

 カーブする迂回路を見ることができる。

迂回路から見る風景

(写真:大上祐史)

 迂回路へ移動する。

(写真:大上祐史)

 移動する階段から迂回路を見下ろす。

(写真:大上祐史)

 迂回路を進むと、カーブが続く。

(写真:大上祐史)

 「羽5.8」と表示されている。

(写真:大上祐史)

 非常電話、非常駐車帯、非常口までの距離が示されている。

(写真:大上祐史)

 表示に倣い、200m先には非常電話が設置されている。

(写真:大上祐史)

 迂回路の右側には、供用されている1号羽田線の上り線がある。より視認しやすくレイアウトされた新しい標識と、従来の標識を見比べることができる。

(写真:大上祐史)

大井水管橋も造り替え、アーチからトラスに

 国道357号の八潮橋が架かり、その先には工事のため通行止めとなって途切れている大井JCTの一部が見える。

(写真:大上祐史)

 2019年(平成31年)9月末に、大井JCTで湾岸線(東行き)と1号羽田線(上り)が再び接続される予定だ。

(写真:大上祐史)

 都道421号線の大井北埠頭橋が架かり、その先には大井水管橋が見える。東京モノレールの軌道は、大井北埠頭橋をまたいでいる。

(写真:大上祐史)

 京浜運河を跨ぐ大井水管橋は、2連のアーチ橋だった。1号羽田線が大井水管橋の上部を通ることになるため、アーチ橋の1つを高さの低いトラス橋に造り替えた。

(写真:大上祐史)

 高低差のある直線を進むと、迂回路は上り線と合流する。

(写真:大上祐史)

 「首都高速道路 羽田線(上り)東品川付近の迂回路現場公開」はここまでとなる。

 約10年間の工事が続けられることにより、安心して利用できる首都高速道路が守られている。

筆者の大上祐史さんは、インフラ建設現場の見学会などに積極的に参加してリポートするウェブサイト「ラジエイト」を運営しています。

大上 祐史=ラジエイト代表日経コンストラクション