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東京大改造

品川駅西口、国道の上空に大規模広場

2017/06/19

 東京の品川駅西口で、駅前の国道15号上空に大規模な広場を作り、道路で分断された駅と商業エリアを一体化する取り組みが始まった。国道の拡幅に併せ、道路上空を民間事業者などが利用できるようにする「立体道路制度」を活用する。

北側から見た品川駅西口駅前の様子(写真:山崎 一邦)

 国土交通省関東地方整備局東京国道事務所が6月6日、事業計画の策定に向けて、民間の「事業協力者」の募集を開始した。隣接区域の再開発を予定する民間事業者や地権者から提案を呼び込み、駅前空間の整備について、官民が連携して具体化するのが狙いだ。

黒い太線で囲っているのが立体道路制度を適用する範囲。赤い太線の内側で再開発を予定する事業者などに提案を求めている(資料:国土交通省東京国道事務所)

 東京国道事務所によると、事業計画の策定前に民間の街づくりと連携した提案を取り込むのは全国の直轄国道で初めて。

 品川駅西口の駅前には、「第一京浜」と呼ばれる幅33.5mの国道15号が通り、向かい側の商業エリアを隔てている。この道路は都市計画上、西口駅前で53.6mに拡幅することになっている。

 一方、品川駅は羽田空港に近く、リニア中央新幹線の駅を整備する予定もある。今後、再開発によって利用者の大幅な増加が見込まれることから、限られた空間を有効利用するため、国交省と東京都は今年2月、立体道路制度を使って西口駅前を整備する方針を打ち出している。


ビルを貫く道路も造れる「立体道路制度」

 立体道路制度は、幹線道路の整備促進や土地の高度利用を目的に1989年に創設された。通常、道路の上下空間は全て「道路区域」とされて、建物の建築などが認められていない。これに対して同制度では、道路区域の上下を限定し、その上空や地下の利用を可能にする。制度を創設した当初は、道路の新設や改築だけを対象にしていたが、14年の道路法改正で、国道15号のような既存の道路にも適用できるようになった。

現状と立体道路制度を使った空間のイメージ(資料:国土交通省東京国道事務所)

立体道路制度を使った駅前広場の整備イメージ。中央の人工地盤の下が国道15号で、左に駅を想定している(資料:国土交通省東京国道事務所)

 既に東京都港区の虎ノ門ヒルズの地下をくぐる環状2号や、高速道路の下に商業施設を一体的に整備した大阪府泉佐野市のりんくうタウンなどで活用されている。

 立体道路制度を使って既存の道路上空に区分地上権を設定すれば、民間事業者が建築物を自由につくれるようになる。道路占用許可を得て上空を利用する通常の手法に比べて自由度が高く、許可の更新も不要だ。


高架の京急線は1階レベルに

 民間の事業協力者には、国道の上空を生かした駅前広場の整備など周辺の街づくりと一体化した提案を求める。駅前広場は人工地盤を用いた構造に限らず、ビルを道路が貫く構造なども提案の対象とする。交通ターミナルの整備など、駅前広場以外の提案も求めている。

 7月中に民間からの提案を受け付け、8月下旬に事業協力者を選定する。

西口駅前と街を分断する国道15号。駅前広場はタクシー乗り場で、バス停は国道15号を隔てて向かい側にある(写真:山崎 一邦)

 駅前広場の整備完了時期は未定。品川駅ではJR各線が地表を走るのに対し、京浜急行線は高架上にある。街と一体化する駅前広場は2階の高さに設けるので、京急線を地表に下ろす必要がある。

 既に同線は連続立体交差事業で地表に下ろす計画があり、今年1月に都市計画手続きに入っている。東京都では、リニアが開業する27年には踏切を撤去できるようにしたいとしている。駅前広場の整備は最短で27年になりそうだ。

山崎 一邦=フリーライター [日経コンストラクション

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