大口径「二重カッター」は国内初

 「二重カッター」方式のシールド機では、面盤を外周部と内周部に切り分け、それぞれ異なる速度で回転させる。大口径シールド機では一般に、外周側と内周側で回転速度の差が大きくなる。内周部のカッターの回転速度を上げることでシールド機の掘進速度を向上できるほか、全体で最適な回転速度に調整することで、消費電力を減らす効果も見込めるという。外径16.1mという大口径でこの方式を採用する例は初めてだ。

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外径16.1mもの大口径シールド機で「二重カッター」方式を採用したのは今回が初めて。面盤を三つのパーツに分けてたて坑内に吊り降ろし、組み立てる(写真:日経コンストラクション))
外径16.1mもの大口径シールド機で「二重カッター」方式を採用したのは今回が初めて。面盤を三つのパーツに分けてたて坑内に吊り降ろし、組み立てる(写真:日経コンストラクション))
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 組み立て時には、面盤を三つのパーツに分けてたて坑に投入する。内周部に当たる円形パーツと、外周部を半分に分けた二つの半円形パーツだ。現場公開時には、外周部の半円形パーツを一つ、800t吊りクレーンで吊り降ろした。内周部ともう一つの外周部パーツは現場公開に先んじて投入済み。これらをたて坑内で組み立てて、面盤が完成する。

 面盤全体に並ぶカッタービットの数は、非常時用を含めて合計1031個。超硬合金を使ったカッタービットは、通常の2倍以上の耐久性を持つ。摩もうが進んだ時には、交換装置を使って機内にカッタービットを引き込んで交換が可能だ。

吊り上げた面盤の向きは、地上の作業員がロープで引っ張って調整する(写真:日経コンストラクション)
吊り上げた面盤の向きは、地上の作業員がロープで引っ張って調整する(写真:日経コンストラクション)
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