日本一高いタワーの建設に合わせた街づくりには、続きがあった。地上に残った「東武スカイツリーライン」の約900mを留置線ごと高架に上げて、「とうきょうスカイツリー」駅も押上駅側に移設する。新たに北口広場を設けて、一足早く完成している南口広場とも直結。南北に分断された街をつなげる。

とうきょうスカイツリー駅(旧駅名は業平橋)方面を、東側に位置する押上駅(副駅名はスカイツリー前)側から望む。地上には東武スカイツリーラインの本線のほか留置線が多数あり、街を分断している。写真左は東京スカイツリータウン(写真:日経BPインフラ総合研究所)
とうきょうスカイツリー駅(旧駅名は業平橋)方面を、東側に位置する押上駅(副駅名はスカイツリー前)側から望む。地上には東武スカイツリーラインの本線のほか留置線が多数あり、街を分断している。写真左は東京スカイツリータウン(写真:日経BPインフラ総合研究所)
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東武スカイツリーライン(伊勢崎線)の伊勢崎線第2号踏切を望む。右に見える線路は京成押上線で手前に向かって地下にもぐっている(写真:日経BPインフラ総合研究所)
東武スカイツリーライン(伊勢崎線)の伊勢崎線第2号踏切を望む。右に見える線路は京成押上線で手前に向かって地下にもぐっている(写真:日経BPインフラ総合研究所)
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踏切を北側から見る。立体交差にして、南北に分断された街をつなげる(写真:日経BPインフラ総合研究所)
踏切を北側から見る。立体交差にして、南北に分断された街をつなげる(写真:日経BPインフラ総合研究所)
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 本計画は、いわば後半戦。開発が先行した南口のにぎわいを、鉄道の連続立体交差化で北口にも広げる。東京都と墨田区が今年3月、一連の主要プロジェクトを都市計画決定した。鉄道関連は2017年に着工し、2023年までに完成させる予定だ。

本線と留置線が地上に残る

 かつて東武スカイツリーラインの本線南側には広大な貨物駅があり、東武鉄道が1993年まで営業を続けていた。さらに1990年から2003年まで、終着の浅草駅には長すぎて留められない10両編成の電車を折り返すための、専用ホームも設けてあった。それらの跡地約6万m2を東武鉄道が主体となり、総事業費650億円を投じて開発。2012年に東京スカイツリータウンとして開業した。

 それまで、「東武スカイツリーライン」の愛称はなく単に東武伊勢崎線と呼び、とうきょうスカイツリー駅も旧名の業平橋駅を名乗っていた。

 本線の北側には、もともと回送電車などを留置する線が多数あり、東京スカイツリー建設の際にも残された。当時既に前後の区間は高架だったが、留置線と本線の接続部分が地上だったこともあり、付近の鉄道施設がそのまま地上に残っている状態だ。

1989年の駅周辺の航空写真。緩やかなS字状カーブを描いているのが本線で左が浅草方面、右上が曳舟方面だ。本線から見て写真上が留置線、写真下が旧・貨物駅だ(写真:国土地理院)
1989年の駅周辺の航空写真。緩やかなS字状カーブを描いているのが本線で左が浅草方面、右上が曳舟方面だ。本線から見て写真上が留置線、写真下が旧・貨物駅だ(写真:国土地理院)
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東京スカイツリータウンの西側を見る。写真中央手前に「すみだ水族館」などが入る商業棟があり、電波塔の向こう側には超高層ビルが建つ。これらの施設で東京スカイツリータウンを構成している。東武鉄道が主体となり開発した。とうきょうスカイツリー駅に隣接(写真:日経BPインフラ総合研究所)
東京スカイツリータウンの西側を見る。写真中央手前に「すみだ水族館」などが入る商業棟があり、電波塔の向こう側には超高層ビルが建つ。これらの施設で東京スカイツリータウンを構成している。東武鉄道が主体となり開発した。とうきょうスカイツリー駅に隣接(写真:日経BPインフラ総合研究所)
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とうきょうスカイツリー駅を、北側の区道側から見る。広場空間がない(写真:日経BPインフラ総合研究所)
とうきょうスカイツリー駅を、北側の区道側から見る。広場空間がない(写真:日経BPインフラ総合研究所)
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