進む下町の機能強化
立体交差化によって1カ所の踏切を除去する。「開かずの踏切」ほどではないものの、遮断される自動車の台数とその時間の積が1日当たり5万台時以上の「自動車ボトルネック踏切」に該当し、国の基準でも緊急対策の検討が必要とされている。
加えて、南北方向の道路も整備する。西側の言問通りは最大幅員を現状の22mから26mに広げて、増加する観光客に対応できるようにする。駅の移設でスペースが空く高架下には広場を設ける。踏切を除却する東側の桜橋通りも、歩道を広げるなどする。
墨田区では合わせて地区計画を変更し、街づくりを後押ししたい考えだ。地区計画では北口エリアを「機能再生ゾーン」と位置付けており、商業・業務・文化・住宅機能の総合的な整備を図り、生活道路の整備や建物の不燃化を進める。現状は、道路が入り組み住宅が密集するなど、防災上の課題も抱えている。
東京の下町では、鉄道の立体交差化と合わせて街の機能を強化するケースが増えている。
隣駅の曳舟駅周辺では、墨田区北部の広域拠点として、大規模な再開発が進行。戦禍を免れた古い街並みが、超高層マンションの立ち並ぶ風景に一変している。2015年には、懸案だった京成押上線の高架化も完了した。東武鉄道も曳舟駅に隣接したビルを、病院が入る複合ビルに建て替え中だ。
2005年に4人が死傷する踏切事故が起きた東武スカイツリーラインの竹ノ塚駅付近では、今年5月に高架橋の一部で供用が始まった(関連記事:4人死傷、竹ノ塚駅越す最初の高架完成)。歩行者がスムーズに移動できる交通網を構築して、にぎわいを創出する。「下町のB級グルメ」で知られる京成押上線の立石駅付近も、立体交差化によって分断されている街を一体化。間もなく工事が本格化する。