3次元データを駆使した情報化施工やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の活用を推進してきた国土交通省は、来年度からこれらを統合して建設現場の生産性を向上させるため「i-Construction(アイ・コンストラクション)」という取り組みを始める。技能労働者一人当たりの生産性を5割アップさせる狙いだ。

 石井啓一国土交通大臣は、11月24日の記者会見で「建設現場の生産性向上に向けて、測量・設計から、施工、さらに管理にいたる全プロセスにおいて、情報化を前提とした新基準を来年度より導入する」と語った。そして、この取り組みを「i-Construction」と名付けた。

 国土交通省は、3Dマシンコントロールなどを使った情報化施工や、構造物の3次元モデルを使って設計・施工を行うCIM、ドローン(無人機)やロボットを使った構造物の点検・補修など、様々なICT(情報通信技術)関連の設計・施工・維持管理技術の導入や開発を進めてきた。

 これらの技術を統合した「i-Construction」を2016年度から推進することで、「全体として技能労働者一人当たりの生産性について、将来的に5割向上の可能性がある」と石井国交相は語った。

土工とコンクリート工の生産性向上を目指す

 i-Constructionでは、過去30年間、生産性があまり改善されていない土工とコンクリート工をまずはターゲットとして生産性向上を狙う。土工では測量から設計、施工計画、施工、そして完成検査という一連の流れを3Dデータによって効率的に行うことを目指している。

i-Constructionを導入した土工のワークフローイメージ(資料:国土交通省)
i-Constructionを導入した土工のワークフローイメージ(資料:国土交通省)
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 例えば、測量ではドローンによる空撮写真をもとに、短時間で高密度な地形の3次元測量を行う。

 地形の3Dデータは設計や施工計画に引き継がれ、現況地形と設計図面を3Dモデルによって比較し、切り土量や盛り土量を自動算出する。

 そして施工では、3Dマシンコントロールや3Dマシンガイダンスなどの制御機能を搭載したICT建設機械を3次元設計データで自動制御して施工を効率化する。

 最後の検査でもドローンによる空撮写真などを使った3次元測量で検査を行い、出来形書類をなくし、検査項目を半減させるという。