プレハブ工法で生産性向上を目指すコンクリート工

 コンクリート工はいまだに現場で鉄筋や型枠を組み、ポンプ車やバイブレーターを使ってコンクリートを打設する従来からの工法が幅を利かせている。

 「i-Construction」では、鉄筋のプレハブ化や型枠、部材のプレキャスト化を大幅に導入することで、省力化や工期短縮を狙う。

コンクリート工はプレキャスト部材をフルに活用し、生産性向上を狙う(資料:国土交通省)
コンクリート工はプレキャスト部材をフルに活用し、生産性向上を狙う(資料:国土交通省)
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 例えば、型枠自体が建物や構造物の一部となる「打ち込み型枠」の内部に鉄筋かごを装着した部材を工場生産することで、現場作業を大幅に減らすのだ。現場では搬入された打ち込み型枠を積み重ね、中詰めコンクリートを打設するだけだ。

 鉄筋や型枠を組み立てる高所作業がなくなり、コンクリート打設後の脱型作業も不要となるので、安全性の向上や廃材の発生防止効果も期待できる。

 また、ラーメン構造の高架橋などでは、各部材の規格やサイズを統一し、定型部材を組み合わせて施工する工法も導入されそうだ。これにより設計や施工は打ち込み型枠よりもさらに単純化できるだろう。

3D設計ツールの普及が現場を変える

 最近、実用化が進みつつある3Dコンクリートプリンターも、近い将来、打ち込み型枠などの作成に導入できるようになりそうだ。

 従来の2次元図面ベースの設計・施工では、現況地形や既設建物や構造物などを完全に表現することが難しかった。設計も施工時に部材同士の干渉が発生したときに、現場で修正する必要があった。そこで「現場合わせ」に柔軟に対応しやすい従来の工法がいまだに使われているのだろう。

 しかし、3Dレーザースキャナーによる現況測量やCIMソフトなど、3次元ベースの設計ツールを使うと、現場のデータをほぼ完全に精度よくパソコン上に取り込みながら構造物などを設計できる。施工時の干渉問題も3Dモデル上で事前に解決できるため、プレキャスト部材を導入しやすくなる。

 「i-Construction」は、3次元による設計・施工ならではの強みを建設現場に持ち込み、生産プロセスを抜本的に変えることを目指している。